「ねえ、聡志……」

突然、名前を呼び捨てにされ、胸の奥が跳ねた。

八歳も年下の女子高生にそんな呼び方をされて、動揺している自分が信じられない。

「……どうした。」

努めて平静を装う。

羽月はゆっくりと距離を詰め、潤んだ瞳をまっすぐこちらに向けた。

「触れて……私に……」

次の瞬間、温かい指が俺の手を包み、そのまま胸元へ導いていく。

掌に伝わる柔らかさと鼓動に、喉が詰まる。

拒む言葉が浮かばず、ただその鼓動の速さと熱に、理性がじわじわと削られていった。

俺は、できる限り平静を装った。

「……ん?」

低く返したその声に、羽月の視線がわずかに揺れる。

「胸を触っているのに、何とも思わないの?」

挑むようなその問いに、俺は肩をすくめて答えた。