ある日、部活帰りの羽月が体操服姿で現れた。汗に濡れた生地は肌に張りつき、白い布地の奥に淡い色が透けている。

目を逸らそうとしても、一度意識したら最後、頭から離れない。

つい口から出た。

「なあ……その下着、何とかならない?」

羽月は一瞬驚いたように目を見開き、反射的に胸元を両手で隠した。

「……スケベ。」

唇を尖らせる声には、怒りよりも照れが混じっていた。

「見せてるのは、そっちだろ。」

軽く笑って返すと、彼女はぷいと顔を背けた。

神奈の一件以来、俺の中で女子高生を“性”の対象として見てしまっている――その事実は、否定できなかった。

だからこそ、自重しなければならないと自分に言い聞かせていた。

もしこの子が少しでも踏み込んでくれば、また神奈のように「もういいの」と背を向けられて終わるだろう。

そんな結末になる恋は、無駄だ――そう思っていた。