幼なじみのユウくんは、私を抱かない。

「……弱。」
「うるさいなー。」

「話になんない。」
「ひっど!」

「昔から弱かったもんね〜」
「強くなる必要ないから。ゲームなんて。」

「負け惜しみじゃん。」
「むかつくー!」
「ははは。」

そうこうしているうちに、夜になってしまった。気づけば終電の時間が迫っている。

「うわ、こんな時間じゃん。」
「帰んの?」

慌ただしくバッグを持って玄関へ向かう。

「ユウくんの呼び出しリストに私も入れておいてよね?ちゃんと呼ばれたら来るから!」
「おー。」
「じゃあね!」

ユウくんと一緒にいると楽しい。でも恋人らしいことはしてない。男女の友情は成立するのだ。

「次は朝から来ちゃおっかな〜」

私がいれば、ユウくんは女の人を呼ばないはずだ。できる限りユウくんの部屋に入り浸ってやろう。

そんなことを考えながらマンションを出ると、スマホが鳴った。ユウくんから電話だった。

「どうしたの?忘れ物?わかった。すぐ戻る。」

ユウくんの部屋へ戻ると、ユウくんは玄関の前で待っていた。

(え、なんで?)

ユウくんが外で待ってるなんて初めてだった。