幼なじみのユウくんは、私を抱かない。

「イチカ?」
「な、なに?」

「彼氏になると色々変わるんですけど、いいですか?」
「なにが?」

「……抱きたい。」
「私にはしないって言ったじゃん!」

ユウくんは私を抱かない……んじゃなかったの!?

「それは友達だったから。彼女は違う。」

もう押し倒されても怖くないし、抱きしめられるのも嬉しい。一緒に住みたいと思ってる。拒む理由は何もない。でも──

(急には無理!)

心の準備ができてない。

「心配しなくても無理にはしないよ。怖がらせるつもりはない。イチカが良い時にするから。」

「私がいい時?」
「うん。」

「どうやってわかるの?」
「まぁ、任せて。」

経験豊富だとそういうこともわかるの?でも、そんなことになるなんて、全然想像がつかない。

「イチカ?」
「い、今はちょっと無理だよ?」

「わかってるよ。キスはしてもいい?」
「!?」

体を重ねるのは心の準備がいる。でも、キスなら……できる──?

「嫌?」
「したことないからわかんないよ。」

「そ?こっち向いて。」

顔を上げると一瞬だけ唇が重なった。1秒にも満たないキスだったけど、私の体はぼっと熱くなった。

「はは、顔真っ赤。」
「恥ずかしいから言わないでよ!」

初めてなんだから大目に見てほしい。ドキドキし過ぎて逃げ出したいはずなのに、私の体はユウくんの腕の中にすっぽりおさまったまま。

ユウくんは、私のドキドキがおさまるまで背中をポンポンと叩いてくれた。おかげで、だんだん飛び出しそうだった心臓が落ち着いてきた。