幼なじみのユウくんは、私を抱かない。

テレビを見ていると、ユウくんはふいに手を出した。

「こうですか?」

私はユウくんの手を握った。

「そ。よくわかってるね。」

ユウくんは満足そうに微笑んだ。

「ユウくん、今までどうしてたの?一人暮らしする前は、平気だったの?」

今は、寂しくなったら部屋に誰かを呼べばいい。でも一人暮らしをする前は、お母さんと住んでいたはずだ。

「今よりは酷くなかった。でも、できるだけ帰らないようにしてた。」

「だから夜中に遊んでたの?」
「そうかもね。」

前からだったんだ。

「今は眠れてるの?」

不純な方法だけど、女の人がいれば眠れるのだろうか。

「そうでもない。」
「なんで?呼ぶんでしょ?」

「朝までやってることが多いから。」
「げっ」

思わず手を離してしまいそうになると、ユウくんはにっこり微笑んで私の手を握りしめた。

「なんてね。」
「もー、信じちゃったじゃん!」

冗談ぽく言ってるけど、嘘かどうかはわからない。

「イチカと寝た時さ。あん時、久しぶりに熟睡した。」
「それは、私の抱き心地が良かったということでしょうか?」
「そうなりますねぇ。」

たぶん体型の話だよね。ははは。

「だから、今日もよく眠れそう。」
「それはよかったです。」

不本意ではあるが、ユウくんの癒しになっているということで、プラスに考えよう。

見ていたドラマが終わり、ユウくんはテレビを消した。