ユウくんは幼なじみで友達。友達でいるためには、特別な感情を持ってはいけないと思っていた。

ユウくんが誰と付き合って、誰と関係を持つかは、ユウくんの自由。女の人に連絡して、一緒に寝ることだって私には関係ない。

(でも、少しくらい頼ってくれてもいいじゃん!)

「ユウくん!!」

声を張り上げると、ユウくんはゆらりと振り返った。

ユウくんが何かを囁くと、女の人は私に鋭い視線を向けながら去っていった。もっと修羅場になると思ったけど、あっけなくて少し拍子抜けした。

「どうしたの?イチカ。」

私はユウくんの前に突き進んだ。自分の気持ちに向き合わなければ、ずっとモヤモヤした思いを抱えて生きていくことになる。

「相談があるの。今世紀最大の相談かもしれない。」
「ふっ、何それ。」

ユウくんはいつもみたいに笑った。

「いいよ。うち来なよ。」
「でも……」

私は女の人が去った方へ視線を向けた。

「いい。イチカの相談の方が面白そう。」
「……面白そうとか言わないでよ。」
「ははは。」

思ったより元気がありそうでよかったと思った。