幼なじみのユウくんは、私を抱かない。

「便利な女になっちゃったな〜ははは。」

『ユウくんが好きな時に呼び出せる女』の一員に加わってしまった。でも悪い気はしない。

手を繋いだり、抱き合ったりするくらいなら私でもできる。ユウくんは私の幼なじみ。なんでも相談できる友達。だから力になりたい。

(でも、抱き合って寝るって普通じゃないよね……)

私はいい匂いのするお姉さんにはなれないし、恋人にもなれない。これがよく言う友達以上恋人未満なのだろう。

「連絡来るかな〜」

そう思っていたのに、ユウくんから連絡は来ない。

「今日も女の人と寝てんのかな。」

私が呼ばれないってことは、他の人を呼んでいるってこと。私はメッセージアプリを開いてユウくんの名前をタップした。

「邪魔しちゃお〜」

ちょっと嫌味なメッセージを作り、送信を押そうとして手が止まった。

ユウくんが誰と過ごそうと、誰を呼ぼうとユウくんの勝手。私はただの幼なじみで、ただの友達だ。

私はアプリを閉じた。