3.
本当はこの高校に来るはずじゃなかった。
公立の進学率のいいところに推薦で入学が決まっていた。
ただ推薦と言っても試験めいたものはあるわけで、わたしはそれを受けるはずだった。
でも受けられなかった。
当日の朝、慣れない満員電車でわたしは痴漢にあったのだ。
幸いなことに周りにいた人たちが痴漢を取り押さえてくれて、駅員さんに突き出してくれたけれど、わたしの心はもうぐちゃぐちゃだった。
迎えに来てくれたお母さんに慰められながら家に帰って、三日間熱で寝込んだ。
高校なんて、当然合格するわけがなかった。
電車に乗らなくても通える女子校だから、とこの高校を選んだ。
だけど失敗もいいところ。なんにも面白くない。
一年と少し耐えてきた。
けれどいつまで経っても慣れない。
今日もわたしは雑音をかき消すように、イヤフォンをつよく耳に押し込む。
