妹の代わりに告白を断りに行ったら付き合うフリをすることになっちゃいました⁉

 ぎゅっと目を閉じ、顔を背けたまま数秒が過ぎる。


「おい、なにやってんだよ。目ぇ開けろ」


 恐る恐る目を開けると、ぐしゃぐしゃになった紙——高遠くんがさっき握り潰した手紙をわたしの目の前に突き付けていた。


「弥生。春野弥生じゃねーの? あんた」

「……えっ⁉」

 ばっと両手で手紙を掴んで、本文の最後に記されていた差出人の名前を確認する。


「ほんとだ……」

「で、どっちなんだよ」

「えっと……」


 じゃあ、どうして美月宛てに呼び出しの手紙が?

 なんで高遠くん宛ての手紙の差し出し人はわたしになってたの?

 それに、どうして……高遠くんはここに来たの?


「……弥生です」

「だよな」

 そう言って高遠くんが小さくため息を吐く。


 さ、最初からバレてたってこと? わたしが弥生だって。

 こんな格好までしてきたのに⁉

 なんだか急に恥ずかしくなってきた。


 思わずきゅっと短いスカートを押さえるわたし。


「んなもん見ねえし」

 わたしの動きに気付いたのか、高遠くんがぼそりと言う。


 ……そうだよね。わたしの……弥生の生足なんか見たくなくて当然だよ。