「っていうか、俺が待ってるってわかってて、よくこんなとこ来たよな、おまえ」

「えっと……来るのが一応礼儀かなと思いまして」

「いやいや、律儀すぎんだろ。こんなもん、無視しときゃよかったのに」

 高遠くんが苦笑いする。


 そういう高遠くんだって、呼び出しに応えてここに来たんでしょ?


 あ、そっか。高遠くんは、美月の告白を受ける気満々だったから……。

 そう思ったら、なんだか申し訳なくなってくる。


 でも美月は、沢村悠くんのことがずっと好きだから。

 美月が高遠くんにそんな手紙を出すなんてありえないんだけどね。


 沢村くんは、サッカー部の一年生で唯一レギュラー入りしているくらいサッカーがうまくて、爽やかイケメンの象徴みたいな人。

 高遠くんとは真逆のような人だというのは間違いない。


「なあ、こんなイタズラされて、本当に悔しくねえの? 俺、ガチでムカついてんだけど」

「ご、ごめんなさい……」

「だから、あんたに怒ってんじゃないんだってば」

 高遠くんがわしゃわしゃと髪をかき混ぜる。

「なんか犯人をあぶり出すいい手はねえのかよ」

 高遠くんがイライラを隠さず言う。


 あぶり出す?

 犯人をぎったんぎったんにぶちのめしたいってこと……⁉