「あたしが悠くんのこと好きだって弥生も知ってるでしょ? 他の男と二人でいるところなんて、万が一にでも悠くんに見られたらあたし……」

 そう言うと、美月が両手で顔を覆う。


 いや、わたしが美月にソックリでバレないっていうのなら、わたしがその呼び出した相手と二人きりでいるところを見られたらやっぱりマズいのでは?

 本当に、いつも言ってることがめちゃくちゃなんだから。

 まあ、だからこそ、姉として放っておけなくなっちゃうんだけどね。


「わかったよ。美月の代わりに断ってくればいいんだね?」


 それにここで美月の頼みを断って、美月が万が一にでもこの人に酷い目に遭わされたりしたら、代わりに行かなかったことをきっと後悔すると思う。

 もちろんわたしだって怖いけど、後悔するくらいならその方がよっぽどいい。


「……ほんと? 弥生、あたしの代わりに行ってくれるの?」

 そっと顔を上げた美月が潤んだ瞳でわたしを見る。


 わたしがこくりとうなずくと、美月がわたしにぎゅっと抱きついてきた。

「弥生、ありがとう! 大好きっ」