「弥生、お願い! あたしの代わりに行って、断ってきてもらえない?」

「え、で、でも……」


 わたしと美月は双子だけど全然似ていない。

 見た目というよりも、性格が。


 明るくてフレンドリーな美月は、男子からも女子からも好かれる人気者。

 対して姉であるわたしはできるだけ目立たないよう、人目を避けてひっそりと暮らす、まさに教室のすみっこ属性の人間だ。


「大丈夫。だってあたしたち双子なんだもん。絶対バレないよ」


 いや、そういう問題じゃないと思うんだけど……。

 それに、この手紙の差し出し人って……わたしたちの学年の有名人じゃない?

 わたしだって関わりたくないよ、こんな人と。


「なに? 美月のお願いも聞いてあげられないの? 美月の姉なんでしょ?」

 美月の友だちの瀬川さんが、胸の前で腕を組んでわたしを睨んでくる。


「それはそうだけど、でも、こういうのって……」

 ——ちゃんと自分の言葉で伝えないと、相手にも失礼だと思う。


 心の中ではちゃんと反論できるのに、どうして言葉にできないんだろう。