「は? なんだよ、急に」

「だからっ……もうやめたいの、付き合ってるフリ」

 翌日の昼休み、高遠くんを屋上に呼び出して、そう告げた。

「だってまだ犯人——」

「わたしね、最初からどうでもよかったの、犯人なんて。でも、高遠くんのことが怖くて断れなかった。ごめんね」

「……」

 高遠くんがぎゅっと唇を嚙みしめる。


 高遠くんがわたしのことを知っているのだとしたら、わたしがイヤだって言えばきっと終わりになる。

 だって、わたしに申し訳ないって思ってるから、親切にしてくれてたんでしょ?

 だったら、わたしのイヤがることはしないよね?


「ねえ、これ仕組んだの、あんたの妹なんじゃないの?」

「え……」


 ひょっとして、高遠くんはずっと気付いてたの?


「俺があのときのヤツだって、アイツから聞いたんだろ」

「……」

 無言が肯定ととられるとわかってはいても、なにも言い返せない。

「なにを言っても言い訳になるってわかってる。けど、弥生を傷つけるつもりはなかったんだ。でも、あれ以来弥生がずっと傷痕を隠してるってアイツに聞いて……あのときは、取り返しのつかないことして、本当にごめん」

 高遠くんがわたしに向かって頭を下げる。