「お兄ちゃん…。」





私の口から、自然と言葉がこぼれた。



怜一朗くんは、一瞬ハッとした表情を見せたが、また私の頭をなでてこう言った。





「ありがとね、春乃ちゃん。でも怜一朗のままでいいよ。」




私は別に無理をしてお兄ちゃんと呼んだ訳ではない。


しかし怜一朗くんは、また私に気をつかって優しくしてくれた。






「うん、わかった。でも怜一朗くんじゃ堅いから、怜くんって呼んでもいいかな?」



「もちろんだよ。じゃぁ俺も、春乃って呼んでいい?」