気にしすぎの自分が少し恥ずかしくなったが、甘いクレープを食べたらすぐに忘れた。
「そろそろ父さんたちと落ち合おうか。春乃も仕事あるもんね?」
「うん…。」
楽しい時間は、あっという間に終わる。
文化祭がこんなに楽しいものになるなんて、少しも考えていなかった。
友達とわいわい回るのとはちがう、ゆったりとした楽しさ。
きっと怜くんの、さりげない優しさがつまっていたから。
ありがとう。
怜くんにお礼を言って、私は仕事に戻った。
そのあとは、また化け猫役に精を出した。
今日は優と一緒に、ふたりおそろいの衣装。
いったいどれくらいの人を脅かしただろう。
満足感いっぱいのまま、文化祭は大成功をおさめ、終わりを迎えた。

