そばにいるとか。

初歌さえいれば何も要らない。

大げさに聞こえるかもしれないけれど本当にそうなんだ。


「渚。」


父さんの声。

今日は父さんに呼ばれ、父さんの家に来てる。

父さんの家は、召使いなんて数え切れないほどいるし、部屋なんて一つのホテルみたいにいくらでもある。

何がそんなに欲しいんだとは思う。

馬鹿みたいだとも。


「渚、よく聞け。」


まぁ。こいつに抗ったところで俺が倒されるんだよな。


「はい。」


「先日、(みなと)が事故に遭った。」


湊とは俺の兄のことだ。

出来が良くて、運動も勉強もそつなくこなす。

顔もよくて。

婚約者もいて。

恐ろしいほどにスペックが高いんだ。