あ、やってしまった……。
そう思った時にはもう遅かった。
でもこれだけは言いたい。
「なぎくんは素敵な人です!そんな風に育ててくださったお父様にはものすごく感謝しています!」
所作も髪の毛も。
もう、どうだっていい。
とにかく、なぎくんが素敵な人だって言うことを伝えたかったんだ。
こんなに冷たくて厳しい人だとは思ってはいなかったけれど。
根はなぎくんみたいに暖かいはずだから。
ふんっって堂々と通せんぼしていると、お父様が肩を揺らし始めた。
「はっはっはっ!合格だ……!こんなに面白い子だなんて……!!はっはっはっ!」
え?
ん?
これはOKサイン?
それともディスられてるの?
でも温かい雰囲気なのは確かだ。
良かった……と胸を撫で下ろした。

