今はもう16だけど、物心ついた頃から、ピアノが好きだった。
暇さえあればピアノ――なんなら、我を忘れて1日15時間弾いていた日もあったくらい。
「お姉ちゃん、ピアノ弾いて〜!」
そう言ってソファで読書をしている私に抱きついてくる、9才の妹の梨奈。
「ん〜?今私本読んでるんだけど、なにが聴きたいの?」
「え〜と、月光〜!」
「わかった、じゃあ弾くからどいて?」
「うん〜!」
久しぶりだなぁ、とか思いながら慣れた手つきで楽譜を出さず月光を弾き始める。
弾きはじめは右手は♭ラ、左手は♭レのオクターブを弾く。
左手はそのまま、右手で次に♭レを奏で、そしてミを弾く。
5回それを繰り返し、左手でシのオクターブを押す。
また5回繰り返し、左手でラのオクターブを弾く。
やっぱり最初なだけあって、静かながら美しい、この部分がかなり好きだ。
第2楽章へ入ると、左手でファ、右手で♭ラと♭レを押す。
そこから第1楽章とは打って変わったような曲調へ。
