「……あれっ?」

 きがつくと、メイは、いつもの公園のベンチにすわっていました。夕ぐれどきです。カレーのよいかおりがあたりにただよっているのは、どこかのおうちのよるごはんなのでしょう。

「わたし、ねちゃってたの?」

 じゃあ、いままでのできごとは、ぜんぶ、ゆめだったのでしょうか。そのとき、メイのゆびさきに、なにかがふれました。

「あっ!」

 メイのとなりにあったのは、魔法の本でした。ゆめの王国で見たのとおなじ、夏の海の青色の本。それが、夕日をあびて、きらきらとしています。

「わたし、ほんとうに、ゆめの王国をぼうけんしてきたんだ!」

 メイは、りょうほうのうでで、魔法の本をしっかりとむねにかかえました。

 さあ、おうちにかえりましょう。
 いちばん大きなこえで、「ただいま」をいうために。