『君がため 惜しからざりし 命さへ 長くもがなと 思ひけるかな』




「おはよー、(めぐり)さん!」
「ああ、おはよう、花山(はなやま)さん。……今日は、早いね」
 花山(はなやま)さんは、ご機嫌だった。
「今日ね、放課後、彼氏とデートなの」
「へ~。それは、楽しみだね」
 彼氏とデートか~……。
 羨ましいなー。
 私も、してみたいなー。
 デート。
「あ、ごめん。私、朝練だから、ここでお別れだわ。じゃ、また後でね~」
「うん。練習頑張ってね」
 もうすぐA級昇格できそうらしいからね。
 頑張ってほしいな。
「……ま、私には関係ないけど」
 ぽつりと呟く。
 だって、私は別にどうでもいいもん。
 うちの学校が、勝とうが負けようが。
 どっちでも良いもん。
「よー(めぐり)
朝吉(あさよし)くん。おはよう」
「放課後、よろしくな」
「あ、うん」
 そっか。
 そうだった。
 私は今日、朝吉(あさよし)くんを連れてかるた部の部室に行くんだった。
「……っていうか、朝吉(あさよし)くん、ホントにかるたやりたいの?」
 それは、ただの疑問。
 だって、朝吉(あさよし)くんは、全くかるたに興味がなさそうだったから。
「……別に、そういうわけじゃ、ないよ。……ただ、かるた部が何してるのか、見てみたいだけ。楽しそうだったら、入部しようかな、って」
「ふーん……」
 楽しそうだったら、か。
 お気楽だなー。
(めぐり)も、なんか部活入ったらいいのに。別にかるた部じゃなくても、他にも色々あるじゃん?」
「……私、部活、したくないんだよね。…………ほら、私、弟いるじゃん?私の弟、病気、なんだよね。だから、なるべく長く家にいたくて……」
「そーなんだ……。ま、部活はしてもしなくても個人の自由だもんな」