「難波津に〜咲くやこの花〜冬ごも〜り〜。今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
ああ、最悪。
なんで、この学校にはこんな行事があるの……?
こんな学校受けなきゃ良かった。
ただ、まあ、仕方ない。
この学校は、私の住んでいる県の中で、一番賢い公立の学校だから。
「今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
来ちゃった。
「めぐ」
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれし 夜半の月かな
パンッ
「え……?」
向かい側では、かるた部の子が、驚いている。
確か、瀬尾さん、だったと思う。
まあ、仕方ないか。
だって、私かるた部じゃないし。
……ただ、まあ、一字決まりなんだし、早く取ってもよくない?
「……周さんって、かるた、やったこと、あるの……?」
「まあ、ね」
やったことある、っていうか、A級っていうか。
まあまあ強いほう。
「雲がくれにし~夜半の月~かな~」
来る……。
「今はた」
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
パンッ
「早い……」
よし!
また取れた。
それにしても、ここのかるた部の人って、そんなに強くないんだね。
「人づてならで~言ふよしも~がな~」
頑張るしかないか。
うん。
A級の意地を見せるか。
「ふく」
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
パンッ
「むべ山風を~あらしといふ~らむ~」
「せお」
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
パンッ
「はや……」
ふふっ。
取った!
瀬尾さんの得意そうな札。
「お願いします」
「お願いします」
なんか、いつの間にか決勝戦だ。
周りは、すごく楽しそうだ。
なんでだろう。
私が、かるた部じゃないのに、決勝に来たからなのだろうか。
相手は、かるた部部長でA級の住野先輩。
得意札は、『住の江の~』と『由良の門を~』だと思う。
名前が、住野 ゆらだから。
今日見た限りでは、この2枚は絶対に取られていない。
「難波津に〜咲くやこの花〜冬ごも〜り〜。今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
『住の江の~』は、敵陣にある。
でも『由良の門を~』は、自陣にある。
『由良の門を~』は、取られたくない。
相手の得意札を取りたい。
「今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
リラックス、リラックス。
「おくや」
奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
パンッ
「しらつ」
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
パンッ
「すごいね。……周さん、だっけ。かるた部に欲しい人材だな〜」
なんだよ。
人材って。
……絶対に入らない。
「ゆらの」
由良の門を わたる舟人 かじをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな
パンッ
「残念……。取れなかったな〜」
よしっ。
取った!
「住野さんが『由良の門を〜』を取れなかった……。あの子、何者……?」
「たまのお」
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらえば 忍ぶることの 弱りもぞする
パンッ
「「ありがとうございました」」
結果は、もちろん、分かるよね?
私の勝ち。
「吹くからに〜」と「めぐり逢ひて〜」という私の得意札がなかったから、ちょっと心配はしたけど。
でも、住野先輩には、「住の江の〜」しか取らせなかったから、結構頑張ったほうだと思う。
「すごいねー‼︎風来夏ー!」
「優勝だよ!かるた部の人たち抑えて!」
同じクラスの人たちが、どんどん群がってくる。
「あ、ありがとう」
「で、でもさ。うちの学校のかるた部って、強いんでしょう?」
「あ~。そうらしいね。全国大会行ったりもしてるんでしょ」
へ~。
そんなに強かったんだ、うちの学校。
「そのかるた部部長を破るなんて……。周さんって、かるた経験者?」
「……まあ、中学の時に、ちょっとは……?」
ちょっとどころじゃない。
ほんとは、幼稚園の時に百人一首を全部覚えた。
個人戦では、まあ、結構優勝した。
「ふーん。でも~、すごいじゃん!かるた部入ってないなんて、もったいないね」
もったいない、か……。
でも、私はそれでいいのだ。
――私はもう、かるたは……競技かるたはしないから。
ああ、最悪。
なんで、この学校にはこんな行事があるの……?
こんな学校受けなきゃ良かった。
ただ、まあ、仕方ない。
この学校は、私の住んでいる県の中で、一番賢い公立の学校だから。
「今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
来ちゃった。
「めぐ」
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれし 夜半の月かな
パンッ
「え……?」
向かい側では、かるた部の子が、驚いている。
確か、瀬尾さん、だったと思う。
まあ、仕方ないか。
だって、私かるた部じゃないし。
……ただ、まあ、一字決まりなんだし、早く取ってもよくない?
「……周さんって、かるた、やったこと、あるの……?」
「まあ、ね」
やったことある、っていうか、A級っていうか。
まあまあ強いほう。
「雲がくれにし~夜半の月~かな~」
来る……。
「今はた」
今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな
パンッ
「早い……」
よし!
また取れた。
それにしても、ここのかるた部の人って、そんなに強くないんだね。
「人づてならで~言ふよしも~がな~」
頑張るしかないか。
うん。
A級の意地を見せるか。
「ふく」
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
パンッ
「むべ山風を~あらしといふ~らむ~」
「せお」
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
パンッ
「はや……」
ふふっ。
取った!
瀬尾さんの得意そうな札。
「お願いします」
「お願いします」
なんか、いつの間にか決勝戦だ。
周りは、すごく楽しそうだ。
なんでだろう。
私が、かるた部じゃないのに、決勝に来たからなのだろうか。
相手は、かるた部部長でA級の住野先輩。
得意札は、『住の江の~』と『由良の門を~』だと思う。
名前が、住野 ゆらだから。
今日見た限りでは、この2枚は絶対に取られていない。
「難波津に〜咲くやこの花〜冬ごも〜り〜。今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
『住の江の~』は、敵陣にある。
でも『由良の門を~』は、自陣にある。
『由良の門を~』は、取られたくない。
相手の得意札を取りたい。
「今を~はるべと〜咲くやこの〜花〜」
リラックス、リラックス。
「おくや」
奥山に 紅葉ふみ分け なく鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき
パンッ
「しらつ」
白露に 風の吹きしく 秋の野は つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける
パンッ
「すごいね。……周さん、だっけ。かるた部に欲しい人材だな〜」
なんだよ。
人材って。
……絶対に入らない。
「ゆらの」
由良の門を わたる舟人 かじをたえ ゆくへも知らぬ 恋の道かな
パンッ
「残念……。取れなかったな〜」
よしっ。
取った!
「住野さんが『由良の門を〜』を取れなかった……。あの子、何者……?」
「たまのお」
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらえば 忍ぶることの 弱りもぞする
パンッ
「「ありがとうございました」」
結果は、もちろん、分かるよね?
私の勝ち。
「吹くからに〜」と「めぐり逢ひて〜」という私の得意札がなかったから、ちょっと心配はしたけど。
でも、住野先輩には、「住の江の〜」しか取らせなかったから、結構頑張ったほうだと思う。
「すごいねー‼︎風来夏ー!」
「優勝だよ!かるた部の人たち抑えて!」
同じクラスの人たちが、どんどん群がってくる。
「あ、ありがとう」
「で、でもさ。うちの学校のかるた部って、強いんでしょう?」
「あ~。そうらしいね。全国大会行ったりもしてるんでしょ」
へ~。
そんなに強かったんだ、うちの学校。
「そのかるた部部長を破るなんて……。周さんって、かるた経験者?」
「……まあ、中学の時に、ちょっとは……?」
ちょっとどころじゃない。
ほんとは、幼稚園の時に百人一首を全部覚えた。
個人戦では、まあ、結構優勝した。
「ふーん。でも~、すごいじゃん!かるた部入ってないなんて、もったいないね」
もったいない、か……。
でも、私はそれでいいのだ。
――私はもう、かるたは……競技かるたはしないから。



