最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!

そこへ――



「ひかり、ちょっときてくれるか?」




霞くん……




昨日の話の続きなのかな?



霞くんに声をかけられて、人混みから少し離れた場所に行く。



「……実はさ、この前ひかりのの家に行ったときのことなんだけど」


霞くんは少し視線を落として、深く息をついた。



「黒瀬と二人で話したんだ。……ひかりには言ってなかったけど」



「黒瀬に挑発されたんだよ。『素直にならないなら、ひかりを奪う』って」


霞くんの声は冗談めかしているのに、苛立ちが混じっていた。


「……あいつ、本気だった」



「え……」


心臓小さくが跳ねる。



かげくんが、そんなことを――



霞くんが苦笑いを浮かべた。



「お前のこと、あいつはちゃんと見てる。俺だって負ける気はないけどな」






校庭のざわめきも、屋台の呼び込みも、遠くの花火の試し打ちの音も、全部遠くに感じる。



(かげくんが……私を、奪うって……?)




霞くんは小さく息を吐き、ふいに一歩近づいてきた。





「ひかり……」





低く名前を呼ばれる。



その声のトーンで名前を呼ばれたことなんて一度もなかった。




霞くんの腕が伸びて、壁ドンをされる。




狭い教室に二人きり。逃げ場なんてどこにもない。





「黒瀬に渡したくない。アイツがお前を奪う気がないなら俺がここで奪ってやる」




真剣な瞳が射抜いてきて、霞くんの唇が近づいてくる。




(やだ……かげくんっっ!)




目をぎゅっと閉じた瞬間――




ガラッ!





教室のドアが勢いよく開いた。


「――ひかり!」




そこにはかげくんが荒い息をつきながら、鋭い瞳で霞くんをにらみつけていた。




「……ひかりは、渡さない」





短く、だけど揺るぎない声。




次の瞬間、かげくんは私の腕をぐっと引っぱった。




驚く間もなく連れ去られる。




「か、かげくん……!」




彼の手は熱くて、強くて……少しだけ震えていた。




そのまま私はかげくんと一緒に屋上へと向かった。