最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!

本能を抑えられないくらい魅力的に映る――


もし、かげくんにとって私がそうじゃないなら。


血を吸うときに優しくしてくれたのも、本人が言ったようにただの気遣いだったのかな……


だってかげくんは本能を抑えられなかった時なんてなくていつも冷静だから。




「ねぇ、聞いた?」


教室の隅から、数人の女子たちのひそひそした声が耳に入る。



「黒瀬くんがこの前、別の子から血をもらったんだって!」


「あーやっぱりイケメンだし女慣れしてるよね」



……え?



頭の中が真っ白になる。



かげくんが……他の子から……?



「ひかり、ハサミ取ってー」



前の席の子から声をかけられて、慌てて机の上を探した。



けれど、手が震えてうまく持てない。



なんでこんなに動揺してるんだろう。



「ひかり? 聞いてる?」



前の子に不思議そうに呼ばれて、私は慌てて笑顔を作った。



「ごめん、ちょっとボーッとしてた」



喉から無理やり声を出したけど、胸の奥はずっとざわざわしている。



目の前でクラスメイトたちが段ボールを切っていたり、ガタガタと机を動かしていた。




私も手伝わきゃなのに思うように手が動かなかった。



「ひかり! 貼り付けるの逆だよ!」



「え、あ……ごめん!」



みんなが楽しそうに準備を進めるなか、私は集中出来なかった。



かげくんのことがどうしても気になって、ついチラチラ見てしまう。


だけど彼はいつも通りの表情で女の子たちと話しながら作業している。




――本当に、別の子から血を吸ったの……?



その答えを確かめたいのに、かげくんに声をかける勇気がなかった。



理由もわからないまま、胸の奥が苦しくなる。




虹香ちゃんが心配して声をかけてくれたがどんな返事をしたのかすら覚えていない。



結局その日は何ひとつ準備に集中できず、ただ時間だけが過ぎていった。