最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!

幸い保健室には誰もいなかった。


私はかげくんをそっとベッドに横たえる。


でも、顔色はどんどん悪くなっていく一方。



真っ黒で小さくなったかげくんは体全体をぷるぷると震わせていた。


このままじゃ……


確かうさぎの時、かげくんは話せないんだよね……



私は彼を人間に戻そうと顔を近づけて鼻キスをしようとする。


いつもならすんなりいく行為。


それなのに今日はかげくんに拒絶された。


どうして……!


かげくんは私の顔を見ようともせずにまくらに顔を埋めている。


「かげくんっかげくんっ!!」


何度も名前を呼ぶけれど、当然返事が返ってくることはなく。


こういう時どうすればいいの……


そもそも吸血鬼がうさぎに変身する事例はないんだよね……



今わかっていることは、かげくんは私を運命の人だと思っていること。


私にドキドキすると黒うさぎになること。


人間に戻るにはお互いの鼻を合わせてキスをすること。


それだけ。


"かげくんのこと、何も知らないくせに"


違う。


かげくんのことを何も知らないのは私の方だ。


ううん、知ろうともしなかった。


神様からバチが当たったんだ……


かげくんからの好意に甘えてなんの努力もしなかった私への。


「かげくんっごめんねっ……」



私はベッドに横たわって向かい合わせになって小さな彼を抱きしめる。


こんなにも近くにいるのに遠く感じる。


言葉が通じないだけでこんなに辛いなんて思わなかった。


私がもっとかげくんという人を知っていれば、今何を考えてどうしてほしいのかわかるのに。


涙目でかげくんを見つめていると彼の方から鼻にちょんとキスをしてくれた。


「……ひかり」


かげくんが弱々しく私の名前を呼ぶ。


何回も聞いた声なのに、こんなにも安心したのは初めて。


「泣かせてごめんね」


「ど、して……さっき……」