最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!

嫌な予感がした私は緊張しながらもゆっくりと扉を開ける。



そこには、数人の上級生に囲まれているかげくんの姿があった。


「ムカつくんだよ。吸血鬼だからって女子にチヤホヤされて、調子に乗ってんじゃねぇよ」


「ほんとそれな。そうやってすました顔してるの見るのが一番つまんねぇ」

かげくんは何か言い返そうとしたみたいだけど、足がもつれてその場に膝をついてしまっていた。


肩で荒い呼吸を繰り返し汗が首筋をつたって落ちる。


「やめて!」


私は思わず叫んで、彼らの間に割って入った。



「ははっ なんだよお前。ヒーロー気取りか?」


「出てけよ、ブスに用はねぇから」



バカにした笑い声。


"ブス"


その言葉が心に重くのしかかる。


泣きたくないのに……


かげくんを助けないとっ……


頭ではわかっているはずなのに体が動かない。


目頭が熱くなる。


頬に伝わる一滴の涙。


それを見たかげくんが体育倉庫の壁をドンッッ!! と力強く殴る。


その音に上級生たちの肩がビクリと上下した。


かげくんは彼らを睨みつけながらフラフラな足取りで立とうとするが、力が入っていないのが見ているだけでわかった。


それでも壁に手をついてなんとか起き上がるかげくんの姿に心を締め付けられた。


「……黙れ。もう何も喋るな」


低くそう吐き捨てたかげくんの拳が、男子たちの腹に次々とめり込んだ。


たちまち数人が倒れていく。


「な、なんだよコイツ……!」


怯んだ声が飛び交う。



私は慌てて駆け寄って、その腕をとる。



「かげくんっそれ以上はダメ!」


「ちっもう行こうぜ!」


男子たちがバタバタと去っていく。



かげくんが悔しそうに視線を伏せて「……ごめん」と小さくこぼした。


「でもひかりに暴言を吐くなんて許せなかった。……だってひかりは可愛い女の子だから」


かわ、いい。


え、私が……?


男子に可愛いなんて言われたの初めて……


ついさっきブスって言われたばかりなのに……


かげくんは他の男の子と違う。



吸血鬼だからじゃない。



私のことをちゃんと女の子として見てくれていたなんて。



かげくんの顔が見れない。


助けてくれてありがとうって言いたいのに声が出せない。


私とかげくんの間に沈黙が流れる。


それを破ったのは、かげくんからだった。


「まだもう一つ競技が残ってる。行かないと」


「う、うんっ そうだねっ」