ガラガラ、とドアを開けると、そこには白色に光るオーラを放っている早乙女くんがいた。
眩しくて、目も開けてられないくらい。
だけど、早乙女くんに近づきたくて、一歩一歩前に進んでいった。
「早乙女、くん?」
「水川……」
「やっと、会えた」
夕焼けに照らされている早乙女くんは、いつも以上に眩しかった。
わたしは早乙女くんのところへ、少しずつ足を前に出す。
「……すごいな。ここが分かったんだ」
「うん、小雪ちゃん……後輩の子が協力してくれたんだ。まさか赤いボタンがあんな異世界みたいなところと繋がってると思わなかった。あれはどこなの?」
「パラレルワールドの反逆者ーーが、送り込まれるとこかな。本当は俺がそこに行かないといけないんだけど、まだやり残したことがあるからって言ったら、代わりにこの世界の俺が行ってくれたんだ」
「その人に、聞いたよ。……わたしも、早乙女くんに確かめに来たの。好きな人、のこと」
そうだ、わたしはそれを確かめに来たんだ。
小雪ちゃんや悠くん、梨央や坂井先輩が背中を押してくれたんだから。
「わたしね、ずっと早乙女くんは坂井先輩のことが好きなんだと思ってた。ある気持ちを伝えたいって早乙女くん言ってたし、この世界ではふたりは付き合ってるみたいだから」
「……そう思ってたんだ」
早乙女くんはぶはっ、と噴き出した。
もう、こっちは笑い事じゃないのに。ずっと……その度に、苦しかったんだよ。寂しかったんだよ。
「教えて。早乙女くんの好きな人は、もしかしてーー」
わたし?
そう聞こうとした瞬間、早乙女くんのそばに腕をぐいっと引き寄せられた。
少し上に視線を向けると、早乙女くんの顔が目の前にある。……近い。
「俺……水川が好きだよ」
早乙女くんの手が、わたしを優しく包み込んでくれた。
あったかくて、やさしい。
「パラレルワールドとか関係なく。俺は、あんたが好き」
「……っ、知ってたよ。早乙女くんがーーわたしとは同じ世界にいないってこと。本当はパラレルワールドから来た人だってこと。全部、全部分かってるよ」
早乙女くんは、パラレルワールドから来た人物。わたしがいる世界には、本当は早乙女悠という人物はいないはずだった。
だからパラレルワールドのわたしを好きになったことで、ルールを破ったことになってしまったんだ。
ルールを破ることになるのに、それでもわたしを好きになってくれたの……?
「水川には、何でもバレちゃうな。……俺がいる世界では、水川は亡くなってるんだ。事件に巻き込まれたみたいでさ、俺が転校したときにはもういなかった。だから会ってみたかったんだ。親がみんなに架空の記憶を付けてくれたおかげで水川にも会えた」
「……わたしを、好きになってくれたのは嬉しいよ。でも、どうして……!? ルールを破ることになって、早乙女くんは……反逆者、なんでしょ。そんなの、おかしいよ」
わたしのせいで、わたしと関わったせいで早乙女くんは反逆者になってしまった。そんなの悲しすぎる。
涙が頬につたる。後悔してもしきれなかった。
「何で泣くの? 俺は……嬉しいよ」
「嬉しいって、何で」
鼻声混じりでそう言うと、早乙女くんは顔を赤くする。
「水川が俺のところに来てくれたから。世界を飛び越えて、会いに来てくれたから。それはもう答えでしょ」
「あ……」
そっか。わたしたちは……両思いなんだ。
今初めて自覚した。わたしも早乙女くんも、お互いのことを想っている。
好きな人が自分のことを好きになってくれるなんて、きっとものすごい奇跡だ。
「水川はさ、俺のこと幻滅した? パラレルワールドから来たこと隠してて、それで水川のこと好きになって、引いた?」
「引くわけ、ない。むしろ嬉しくて、信じられないよ……」
早乙女くんがパラレルワールドに来た理由が、まさかわたしに会いに来るためだったなんて。
そんなの嬉しくないわけがないのに。
「良かった。俺、ずっと素直になれなかったから。凪のときも“ずっと隣で見守ってくれてありがとう”って伝えられなかったし。パラレルワールドに来てからも、水川に好きだってこと言えなかったし」
「それは……わたしも同じだよ。たぶん、ずっと早乙女くんのことが好きだった。だけどその気持ちに気づかなくて、こんなにも遅くなっちゃったから」
「はは、本当だな。めっちゃ遅くなっちゃった」
「あはは、だよね」
やっぱり、早乙女くんといるとホッとする。安心する。落ち着く。
こんな人と生涯共にできたらな、なんて思う。わたしはたぶん自分が思っている以上に、早乙女くんのことが好きだ。
わたしに違う世界を見せてくれて、新しいスタートを見出してくれた人だから。
「早乙女くん、わたし早乙女くんのことが好きだよ。これからもずっと」
「……でも、水川。俺たちは、もう」
「分かってる。でも恋って理屈じゃないでしょ? 好きって気持ちは隠せないもん。だから、だから……っ」
せっかく抑えていた涙がまた止まらなくなってしまった。
そんなわたしを見て、早乙女くんは優しく抱きしめてくれた。
「ずるい……よ。あんたのこと、すげーかわいいって思っちゃったじゃん」
「え、え、え?」
か、かわいい?
こんな状況なのに、好きな人からそんなこと言われるなんて思ってなくて、嬉しいと思ってしまう。
「俺、いつか絶対、水川に会いに行くよ。自由に世界と世界を行き来できるようになったら……いや、させてみせる」
早乙女くんなら。この人なら絶対できると信じることかできる。
不可能はないってこと、教えてくれたから。
「うん……! 未来の世界で、待ってる」
そう言うと、もう一度早乙女くんは抱きしめてくれた。
離れ離れになるのは怖い。わたしはこれからひとりで生きていかないといけないのだから。
でも、世界が違くても、どこかの世界に早乙女くんがいるのなら、きっと大丈夫。
「愛音」
「え……っ、早乙女、くん」
「好きだよ。これからもずっと」
「……っ、わたしもだよ、悠!」
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。
眩しくて、目も開けてられないくらい。
だけど、早乙女くんに近づきたくて、一歩一歩前に進んでいった。
「早乙女、くん?」
「水川……」
「やっと、会えた」
夕焼けに照らされている早乙女くんは、いつも以上に眩しかった。
わたしは早乙女くんのところへ、少しずつ足を前に出す。
「……すごいな。ここが分かったんだ」
「うん、小雪ちゃん……後輩の子が協力してくれたんだ。まさか赤いボタンがあんな異世界みたいなところと繋がってると思わなかった。あれはどこなの?」
「パラレルワールドの反逆者ーーが、送り込まれるとこかな。本当は俺がそこに行かないといけないんだけど、まだやり残したことがあるからって言ったら、代わりにこの世界の俺が行ってくれたんだ」
「その人に、聞いたよ。……わたしも、早乙女くんに確かめに来たの。好きな人、のこと」
そうだ、わたしはそれを確かめに来たんだ。
小雪ちゃんや悠くん、梨央や坂井先輩が背中を押してくれたんだから。
「わたしね、ずっと早乙女くんは坂井先輩のことが好きなんだと思ってた。ある気持ちを伝えたいって早乙女くん言ってたし、この世界ではふたりは付き合ってるみたいだから」
「……そう思ってたんだ」
早乙女くんはぶはっ、と噴き出した。
もう、こっちは笑い事じゃないのに。ずっと……その度に、苦しかったんだよ。寂しかったんだよ。
「教えて。早乙女くんの好きな人は、もしかしてーー」
わたし?
そう聞こうとした瞬間、早乙女くんのそばに腕をぐいっと引き寄せられた。
少し上に視線を向けると、早乙女くんの顔が目の前にある。……近い。
「俺……水川が好きだよ」
早乙女くんの手が、わたしを優しく包み込んでくれた。
あったかくて、やさしい。
「パラレルワールドとか関係なく。俺は、あんたが好き」
「……っ、知ってたよ。早乙女くんがーーわたしとは同じ世界にいないってこと。本当はパラレルワールドから来た人だってこと。全部、全部分かってるよ」
早乙女くんは、パラレルワールドから来た人物。わたしがいる世界には、本当は早乙女悠という人物はいないはずだった。
だからパラレルワールドのわたしを好きになったことで、ルールを破ったことになってしまったんだ。
ルールを破ることになるのに、それでもわたしを好きになってくれたの……?
「水川には、何でもバレちゃうな。……俺がいる世界では、水川は亡くなってるんだ。事件に巻き込まれたみたいでさ、俺が転校したときにはもういなかった。だから会ってみたかったんだ。親がみんなに架空の記憶を付けてくれたおかげで水川にも会えた」
「……わたしを、好きになってくれたのは嬉しいよ。でも、どうして……!? ルールを破ることになって、早乙女くんは……反逆者、なんでしょ。そんなの、おかしいよ」
わたしのせいで、わたしと関わったせいで早乙女くんは反逆者になってしまった。そんなの悲しすぎる。
涙が頬につたる。後悔してもしきれなかった。
「何で泣くの? 俺は……嬉しいよ」
「嬉しいって、何で」
鼻声混じりでそう言うと、早乙女くんは顔を赤くする。
「水川が俺のところに来てくれたから。世界を飛び越えて、会いに来てくれたから。それはもう答えでしょ」
「あ……」
そっか。わたしたちは……両思いなんだ。
今初めて自覚した。わたしも早乙女くんも、お互いのことを想っている。
好きな人が自分のことを好きになってくれるなんて、きっとものすごい奇跡だ。
「水川はさ、俺のこと幻滅した? パラレルワールドから来たこと隠してて、それで水川のこと好きになって、引いた?」
「引くわけ、ない。むしろ嬉しくて、信じられないよ……」
早乙女くんがパラレルワールドに来た理由が、まさかわたしに会いに来るためだったなんて。
そんなの嬉しくないわけがないのに。
「良かった。俺、ずっと素直になれなかったから。凪のときも“ずっと隣で見守ってくれてありがとう”って伝えられなかったし。パラレルワールドに来てからも、水川に好きだってこと言えなかったし」
「それは……わたしも同じだよ。たぶん、ずっと早乙女くんのことが好きだった。だけどその気持ちに気づかなくて、こんなにも遅くなっちゃったから」
「はは、本当だな。めっちゃ遅くなっちゃった」
「あはは、だよね」
やっぱり、早乙女くんといるとホッとする。安心する。落ち着く。
こんな人と生涯共にできたらな、なんて思う。わたしはたぶん自分が思っている以上に、早乙女くんのことが好きだ。
わたしに違う世界を見せてくれて、新しいスタートを見出してくれた人だから。
「早乙女くん、わたし早乙女くんのことが好きだよ。これからもずっと」
「……でも、水川。俺たちは、もう」
「分かってる。でも恋って理屈じゃないでしょ? 好きって気持ちは隠せないもん。だから、だから……っ」
せっかく抑えていた涙がまた止まらなくなってしまった。
そんなわたしを見て、早乙女くんは優しく抱きしめてくれた。
「ずるい……よ。あんたのこと、すげーかわいいって思っちゃったじゃん」
「え、え、え?」
か、かわいい?
こんな状況なのに、好きな人からそんなこと言われるなんて思ってなくて、嬉しいと思ってしまう。
「俺、いつか絶対、水川に会いに行くよ。自由に世界と世界を行き来できるようになったら……いや、させてみせる」
早乙女くんなら。この人なら絶対できると信じることかできる。
不可能はないってこと、教えてくれたから。
「うん……! 未来の世界で、待ってる」
そう言うと、もう一度早乙女くんは抱きしめてくれた。
離れ離れになるのは怖い。わたしはこれからひとりで生きていかないといけないのだから。
でも、世界が違くても、どこかの世界に早乙女くんがいるのなら、きっと大丈夫。
「愛音」
「え……っ、早乙女、くん」
「好きだよ。これからもずっと」
「……っ、わたしもだよ、悠!」
その瞬間、視界がぐにゃりと歪んだ。



