光の中に飛びこんで辿り着いたのは、見覚えのあるイラスト部の部室だった。
何だか懐かしく感じる……。
ぼーっとしていると、ハッと気がついた。そうだ、わたしは早乙女くんを探さなきゃいけないんだった!
急いで走り出すと、誰かと衝突してしまった。
「す、すみませ……」
「愛音?」
「愛音ちゃん?」
「り、梨央! と、坂井先輩!?」
梨央と坂井先輩に会えるなんて……。
久しぶりにふたりに会えて嬉しい気持ちと、早乙女くんのことでハラハラした不安な気持ちが混ざっていた。
「あ、愛音、どうしたの? そんなに急いで」
「梨央っ、わたし、パラレルワールドの愛音なの! 覚えてくれてるか、分からないけど……!」
「え、そうなの!? 覚えてるよ! まさかまたこの世界から帰れなくなったとか? 大丈夫?」
「ううん、そうじゃなくて。えっと、早乙女くんを探してるんだけど、どこにいるか分かる!?」
勢いのあまり、わたしは口走ってしまった。
梨央が混乱していると、坂井先輩が口を開いた。
「悠なら、さっきすれ違ったよ。確か忘れ物取りに来たって言ってたと思う。教室じゃないかな」
「あ、ありがとうございます……!」
「愛音ちゃん……パラレルワールドから、来たの? もしかして、悠も?」
わたしは、素直に言わないとダメだ、嘘を吐いてはいけない、と何故か思った。
「はい。パラレルワールドから来ました。早乙女くんもそうだと思います」
「そうなんだ……。すごいね、パラレルワールドなんて本当にあるんだ。梨央ちゃんは知ってたんだね」
「前に一度、愛音がもとの世界に帰れなくなったときがあって、そのときに教えてもらいました」
「そっか。ふふ、だから愛音ちゃん、わたしと悠の関係性聞いたとき驚いた顔してたの?」
坂井先輩に問いに、正直に頷いた。
「そっちの世界では、愛音ちゃんと悠は付き合ってるの?」
「いえ……付き合ってはない、ですけど」
「けど?」
わたしは、服の裾をぎゅっと掴みながら、答える。
「わたしは好き、です」
もう、自分の気持ちに嘘を吐きたくないから。
「そっか。パラレルワールドのことは分からないし、どうして悠のことを探してるのか分からないけど……頑張ってね、愛音ちゃん」
「坂井、先輩」
「そうだよ、愛音。早く早乙女を探さないといけないんでしょ? ほら、行って行って!」
「梨央……」
思い返せば、わたしは一時期この世界にずっといたいと思ったことがあった。
それは親友の梨央やみんなと過ごせる部活が好きだったから。
でも、今はこう思ってしまう。この世界には……早乙女くんが足りない。わたしの好きな人が、いなかったんだ。
もとの世界に帰ったら、梨央と坂井先輩はいない。たぶんもう永遠に、会うことはない。
涙を我慢して、わたしはふたりに抱きつく。
「え、え、愛音?」
「愛音ちゃん、どうしたの?」
「梨央、坂井先輩。本当にありがとうございました。わたし、ちょっとだけだけどイラスト部で過ごした時間が大好きだった。絶対に忘れません。ふたりのことも……ずっと、大好き」
そのおかげでもとの世界の小雪ちゃんとも仲良くなれたし、幸せだ。璃奈ちゃんとも今度話せたら良いな、と思う。
それに家族に本音を伝えられたのも、このパラレルワールドの世界に来た経験があったからこそできたことだ。
「わたしも大好きだよ、愛音ちゃん」
「愛音、たぶん向こうの世界ではわたしがいなくて寂しいと思うけど、大丈夫だよ。愛音の世界でのわたしは、空から愛音を見守ってるから!」
「……うん! ありがとう!」
わたしは、ふたりに背中を向けて走り出した。
ふたりに出会えたのは、幻なんかじゃない。わたしにとって、現実だ。
……また、いつか会おうね。
わたしと早乙女くんが初めて出会った、教室に向かった。
何だか懐かしく感じる……。
ぼーっとしていると、ハッと気がついた。そうだ、わたしは早乙女くんを探さなきゃいけないんだった!
急いで走り出すと、誰かと衝突してしまった。
「す、すみませ……」
「愛音?」
「愛音ちゃん?」
「り、梨央! と、坂井先輩!?」
梨央と坂井先輩に会えるなんて……。
久しぶりにふたりに会えて嬉しい気持ちと、早乙女くんのことでハラハラした不安な気持ちが混ざっていた。
「あ、愛音、どうしたの? そんなに急いで」
「梨央っ、わたし、パラレルワールドの愛音なの! 覚えてくれてるか、分からないけど……!」
「え、そうなの!? 覚えてるよ! まさかまたこの世界から帰れなくなったとか? 大丈夫?」
「ううん、そうじゃなくて。えっと、早乙女くんを探してるんだけど、どこにいるか分かる!?」
勢いのあまり、わたしは口走ってしまった。
梨央が混乱していると、坂井先輩が口を開いた。
「悠なら、さっきすれ違ったよ。確か忘れ物取りに来たって言ってたと思う。教室じゃないかな」
「あ、ありがとうございます……!」
「愛音ちゃん……パラレルワールドから、来たの? もしかして、悠も?」
わたしは、素直に言わないとダメだ、嘘を吐いてはいけない、と何故か思った。
「はい。パラレルワールドから来ました。早乙女くんもそうだと思います」
「そうなんだ……。すごいね、パラレルワールドなんて本当にあるんだ。梨央ちゃんは知ってたんだね」
「前に一度、愛音がもとの世界に帰れなくなったときがあって、そのときに教えてもらいました」
「そっか。ふふ、だから愛音ちゃん、わたしと悠の関係性聞いたとき驚いた顔してたの?」
坂井先輩に問いに、正直に頷いた。
「そっちの世界では、愛音ちゃんと悠は付き合ってるの?」
「いえ……付き合ってはない、ですけど」
「けど?」
わたしは、服の裾をぎゅっと掴みながら、答える。
「わたしは好き、です」
もう、自分の気持ちに嘘を吐きたくないから。
「そっか。パラレルワールドのことは分からないし、どうして悠のことを探してるのか分からないけど……頑張ってね、愛音ちゃん」
「坂井、先輩」
「そうだよ、愛音。早く早乙女を探さないといけないんでしょ? ほら、行って行って!」
「梨央……」
思い返せば、わたしは一時期この世界にずっといたいと思ったことがあった。
それは親友の梨央やみんなと過ごせる部活が好きだったから。
でも、今はこう思ってしまう。この世界には……早乙女くんが足りない。わたしの好きな人が、いなかったんだ。
もとの世界に帰ったら、梨央と坂井先輩はいない。たぶんもう永遠に、会うことはない。
涙を我慢して、わたしはふたりに抱きつく。
「え、え、愛音?」
「愛音ちゃん、どうしたの?」
「梨央、坂井先輩。本当にありがとうございました。わたし、ちょっとだけだけどイラスト部で過ごした時間が大好きだった。絶対に忘れません。ふたりのことも……ずっと、大好き」
そのおかげでもとの世界の小雪ちゃんとも仲良くなれたし、幸せだ。璃奈ちゃんとも今度話せたら良いな、と思う。
それに家族に本音を伝えられたのも、このパラレルワールドの世界に来た経験があったからこそできたことだ。
「わたしも大好きだよ、愛音ちゃん」
「愛音、たぶん向こうの世界ではわたしがいなくて寂しいと思うけど、大丈夫だよ。愛音の世界でのわたしは、空から愛音を見守ってるから!」
「……うん! ありがとう!」
わたしは、ふたりに背中を向けて走り出した。
ふたりに出会えたのは、幻なんかじゃない。わたしにとって、現実だ。
……また、いつか会おうね。
わたしと早乙女くんが初めて出会った、教室に向かった。



