ナナとひみつの Tic Tac cook!


  ★


「――ミミちゃん!」
 次の朝、昇降口でそわそわ待っていたナナは、登校したミミちゃんをつかまえました。
「あ、おはようナナちゃん」
 ミミちゃんは笑ってあいさつしてくれます。ちょっとホッとしましたが、ミミちゃんはやさしい子です。おこっていても言えないだけかもしれません。
 でもここで逃げちゃだめです。ナナはグッとおなかに力を入れました。
「ミミちゃん、ごめんね」
「え?」
「きのう、タブレットがこわれた時……わたしもいけなかったのかもしれないの」
 告白したら、ちょっと泣けてきました。ベソをかきそうになるのをガマンします。
「水筒を落とす前にユウトくん、わたしとぶつかった気がするんだ……わたしがせまいところをとおらなければよかったんだよ。ごめんなさい」
 ナナは頭を下げると、くちびるをむすびました。

(こわいな。ミミちゃんおこるかな。でもすぐ言えなかったのは、わたしが悪いんだもん)

 ミミちゃんになんて言われるかドキドキします。
 でも――――。

「ナナちゃんのせいじゃないよ!」
 ミミちゃんはびっくりした顔になって言いました。
「うーんとねえ。ユウトくん……きのう、コッソリあやまってきたの。ふざけてわたしにむかって水筒をゆらしたんだって。おどかそうと思ったみたい。そしたら手がすべったって言うんだよ」
「え……!」
 ナナは目をパチクリしてしまいました。そんなことがあったなんて! やっぱりユウトくんの失敗だったんですね。ミミちゃんは考えながらつづけました。
「前にナナちゃんに言ったよねえ? よくイタズラしてくる子のこと」
「うん。あれユウトくんだったの?」
「そう……」
 ミミちゃんはモジモジしましたが、ちょっとほこらしげに顔を上げました。
「だからわたしね、がんばって言い返したの! もうイジワルやめてって」
「えー! すごいすごい!」
 のんびり屋さんのミミちゃんが、そんな勇気を出したなんておどろきです。ナナはミミちゃんの手を取って、ピョンピョンよろこびました。

(あれ、なんだかいつものお友だちモードだなあ)
 ナナは気づいてホッとしました。
 タブレットがこわれたのはナナのせいじゃなかった――それは本当によかったです。でも何よりミミちゃんと友だちのままでいられそうなのが、うれしくてたまりません!

「ねえミミちゃん、今日ね、わたしの家に遊びに来ない?」
 さいしょに言おうと考えていたとおり、ナナはミミちゃんをさそいました。
「え、いいの?」
「うん!」

 ミミちゃんにあやまりたくて計画したデザート作りの「大作戦」ですが、予定変更! ミミちゃんがいじめっ子に言い返せたお祝いになりそうです。

 ――あと、ナナも勇気を出してあやまったから、そのお祝いにもなるかもしれませんね。