籠の中の鳥

 紗里奈は2人の友人と話をしていた。話題はもっぱら二股をかけていた紗里奈の彼氏のこと。

「うわ、紗里奈の目、真っ赤!」
「ほんと。めっちゃ腫れてるよ。」
「たくさん泣いたからね。昨日はヤケ酒した。」

「しょうがないと思う。二股とか最低だもん。」
「同棲する前にわかってよかったよね。」

「それ、翔ちゃんにも言われた!」

「出た、翔ちゃん!」
「もう翔ちゃんと付き合った方がいいんじゃない?」

 友人の1人が冗談混じりに言うと、紗里奈はスマホをじっと見つめた。

「そうだったらいいのにって思うことはあるなぁ。」

「それ本気で言ってる?」
「半分本気かも。」
「重症だね。」

 紗里奈のスマホに映っているのは、美しい青色の鳥。友人は紗里奈のスマホを覗き込んだ。

「まぁ、確かに綺麗だけどね。」
「でしょ?」

「でも、良く助かったよね。見つけた時は、正直助からないと思った。」
「私も。だって全然動かなかったよね?息しているように見えなかったし。」

 あの日の光景は今でも目に焼きついている。青い羽は真っ赤に染まり、目を閉じて動かなかった。抱き上げた時は冷たくて、もう手遅れかと思った。でも、僅かに心臓が動いていた。

「翔ちゃんは、生きたいって思ってたんだと思う。」

 必死に看病して、動けるようになって、声が出るようになった時は嬉しかった。今ではうるさいくらいだ。

「翔ちゃんが大切なのはわかるよ?でも、彼氏にするっていうのは……」
「私たちの前ではいいけど、知らない人が聞いたら引くからね?」
「ははは、そうだよね!」

 紗里奈は翔太郎の写真を見つめながら、楽しそうに笑った。