俺は、鉄格子で囲われた檻の中から、窓の外を眺めている。

(今日もいい天気だ。)

 外には青い空が広がっている。でも、そう思ったところで、外へ出られるわけではない。気晴らしに鼻歌を歌うと、嫌味な声が飛んできた。

「うるさいなー、静かにしてよ!」

 声の主は、俺を監禁している紗里奈とかいう女だ。

「なに?お腹空いてんの?」
「……いや、違う。」

 監禁されているとはいえ、紗里奈は俺に食事を出してくれる。昨夜もちゃんと食べた。だからお腹は空いていない。

「わかったよ。今準備するから……」

 紗里奈はボサボサの髪の毛のまま、キッチンへ向かっていく。

(違うって言ってるんだけどな……)

 紗里奈に俺の言葉は届かない。ここへ来てからずっとそうだ。俺は気だるげな顔で食事の準備をする紗里奈を見つめた。紗里奈と出会ったのは、今日みたいに空が青かった日だったと思う──