夏樹は今はこんなに堂々とした雰囲気を醸し出しているけれども、幼少期の時はどっちかというと、か弱い雰囲気だった。いつでも私を頼ってくれていていた。当時の私は特に正義感が無駄に強かったから守らないといけないんだと思うほどに。特にそう思ったのは、夏樹が小学三年生の頃だったかな?
下校時間に女子たちに囲まれていた夏樹。会話は聞こえなかったけれど、何やら不穏な空気だったから「夏樹!」と大声で叫んで強めなオーラを出しながら走って近くに寄った。
女の子たちは、夏樹が私と仲良いの知っているからか、逃げていった。
「なに、虐められてた?」と聞くと、夏樹はブンブン首を横に振った。当時は私の肩ぐらいの位置に夏樹の頭のてっぺんがあった。「何か悩み事とかあれば言ってね?」と、私は夏樹の頭を撫でた。すると夏樹は私のTシャツをぎゅっと握りながら言った。
「下校時間、一緒に帰りたい」と。あの時も理由を尋ねてみたけれど「なんとなく?」だったな。
その日からしばらく夏樹の手を引っ張りながら下校していたな。
ちなみに「下校時間あの女子たちにほぼ毎日、嫌がらせを受けていたんだ」と、後から理由を打ち明けてくれた。
*
「デート、どこに行こうか?」
夏樹とのデートという言葉の響きが少し違和感を覚えるけれども。
「水族館とか? でも遥、飽きないかな」
「大丈夫だよ。じゃあ週末行こうか。私車出す?」
「いや、俺が出す」
「そっか、ありがとう」
夏樹は笑みを浮かべながら立ち上がり、私のテーブル、向かい側に座ってきた。
それからずっと〝デート〟という言葉が頭の中でふわふわしていた。いつもはギリギリに勢いで色々準備する派だけど、家に帰るとすぐに週末に着る服を選び始めた。
――何、私。夏樹とのデート、すっごい楽しみにしてるじゃん。
仕事ではスカート姿も多いけれど、プライベートでは楽さを優先してしまいパンツ姿が多い私のファッション。だけど滅多に着る機会がない、いざという時に着ようと考えていた、お腹辺りにリボンがついている柔らかいグリーン色のシャツワンピースに決めた。全身鏡で合わせてみる。水族館にも馴染みそうな色だし、これで良いかな。
夏樹、この姿を見てどう思うかな――。
***
下校時間に女子たちに囲まれていた夏樹。会話は聞こえなかったけれど、何やら不穏な空気だったから「夏樹!」と大声で叫んで強めなオーラを出しながら走って近くに寄った。
女の子たちは、夏樹が私と仲良いの知っているからか、逃げていった。
「なに、虐められてた?」と聞くと、夏樹はブンブン首を横に振った。当時は私の肩ぐらいの位置に夏樹の頭のてっぺんがあった。「何か悩み事とかあれば言ってね?」と、私は夏樹の頭を撫でた。すると夏樹は私のTシャツをぎゅっと握りながら言った。
「下校時間、一緒に帰りたい」と。あの時も理由を尋ねてみたけれど「なんとなく?」だったな。
その日からしばらく夏樹の手を引っ張りながら下校していたな。
ちなみに「下校時間あの女子たちにほぼ毎日、嫌がらせを受けていたんだ」と、後から理由を打ち明けてくれた。
*
「デート、どこに行こうか?」
夏樹とのデートという言葉の響きが少し違和感を覚えるけれども。
「水族館とか? でも遥、飽きないかな」
「大丈夫だよ。じゃあ週末行こうか。私車出す?」
「いや、俺が出す」
「そっか、ありがとう」
夏樹は笑みを浮かべながら立ち上がり、私のテーブル、向かい側に座ってきた。
それからずっと〝デート〟という言葉が頭の中でふわふわしていた。いつもはギリギリに勢いで色々準備する派だけど、家に帰るとすぐに週末に着る服を選び始めた。
――何、私。夏樹とのデート、すっごい楽しみにしてるじゃん。
仕事ではスカート姿も多いけれど、プライベートでは楽さを優先してしまいパンツ姿が多い私のファッション。だけど滅多に着る機会がない、いざという時に着ようと考えていた、お腹辺りにリボンがついている柔らかいグリーン色のシャツワンピースに決めた。全身鏡で合わせてみる。水族館にも馴染みそうな色だし、これで良いかな。
夏樹、この姿を見てどう思うかな――。
***



