恋人になってから日が経ち、年が明けた。

 仕事の方は最近、夏樹を見習ってお客様ときちんと向き合うことを心がけている。こっちの意見を押し付けずにきちんと人の話を丁寧に聞くこと。そしてノルマだけではなくきちんとひとりひとりを見つめて。

 そしたら深いお話を聞かせてくれるお客様も増えたし契約数も伸び、上手くいくようになってきた。もしもまた荒い波が訪れても夏樹がいるから大丈夫な気もしている。

 小説の方はというと、私はあることを思いついた。

「名前だけを変えて、私たちの体験をそのまま小説にしてみようかな? そうしても夏樹は大丈夫?」
「いいよ、やってみたら良いんじゃない?」

 いつものカフェで、私がそう提案すると夏樹は笑顔で受け入れてくれた。

「ありがとう! でも完成したら夏樹に見せるの恥ずかしいかも」
「大丈夫。受賞して書籍化したらこっそり見るから」
「見ちゃうんだ?」
「だって、俺がどんな風に書かれているか、気になるじゃん」
「だよね、逆の立場だったら気になりすぎて眠れないかも」

☆。.:*・゜

 空白だった物語に恋の描写が溢れ出す。

――これからも私たちの物語が続きますように。