それに先ほどミシュリーヌは黄色のグッズをたくさん持っていた。
フリルやリボン、第二騎士団の副団長モアメッド・ディーラーのリアルな肖像画がびっしりと敷き詰められたバッグ。
一目見て手が込んでいることがわかる。
イエローのドレス、ところどころオレンジの小物でアクセントを入れていた。

((はぁ……うらやましい))

そう思わずにはいられない。
それにクロエの影に隠れて目立ちはしないが、整っていて小動物のように可愛らしい容姿。
隣にクロエがいなければ、間違いなく異性の目を惹いている。

レダー公爵もミシュリーヌに突然、婚約を申し込んだと聞いた。
つまり一目惚れの可能性もあるのではないだろうか。

(それにもしも、もしも本当にレダー公爵がミシュリーヌ様のことが好きで婚約していたら、私たち終わるわよ?)

(そう言ったって、どうすればいいのよ……! マリアン様を止めらないわ)

(もうっ、なんで私たちばかりこんな目にっ)


ミシュリーヌはマリアンを真正面から否定した。
マリアンもこの怒りようだ。
ミシュリーヌを許して引くことはないだろう。
それは彼女のそばにいるサラとエマはよく理解していた。


「サラ、エマ……」

「「は、はい!」」

「あの女……二度と社交界に出られないようにしてやりましょう」

「「…………」」


サラとエマは何も言えずに、ヘラリと笑うしかなかった。