血塗れの正義~真実という名の地獄への招待状~

病院のベッドで目を覚ました朔紅。奇跡的に軽傷だった。

「朔紅!」

虹空が飛び込んできた。雅紅も紅祐も無事だった。

「みんな無事だったのか…?」

「ええ、虹輝は逮捕されました」

虹空が微笑む。しかし、その笑顔には見覚えがあった。

「あなたまさか…」

「ふふふ、気づいちゃいましたか♪」

虹空の表情が一変した。それは虹輝と同じ、天真爛漫で狂気に満ちた笑顔だった。

「実は私たち、双子なんです。虹輝はただの囮。本当の黒幕は私でした」

朔紅の血の気が引いた。

「あなたは正義感が強すぎるの。だから少し、現実を教えてあげようと思って♪」

「虹空…なぜ…」

「愛してるからよ。歪んだ正義感のあなたを、私だけのものにしたかったの」

病室のドアが静かに閉まった。外では雅紅と紅祐が何も知らずに心配そうに待っている。

朔紅は気づいた。真の地獄は、これから始まるのだと。

愛する人が最も恐るべき敵だった時、正義とは一体何なのだろうか。

朔紅の戦いは、終わったのではなく、今まさに始まろうとしていた──。

【完】