炎と煙が揺れる中。

私は、いつものようにDMATのベストを着て現場に立っていた。

だけど、どこかで身体の奥が緊張している。

…大丈夫。やれる。

もう動けるって判断されたんだから

マスク越しに酸素を吸い、担架のそばで救命医と共に動く。

「桐谷さん、大丈夫?」

「ええ。ご心配ありがとうございます、先生。落ち着いてやります」

その笑みの奥に、ほんの少しの震えが残っていることに気づいていたのは、私自身だけだった。