医学部受験の日が来た。悠瑚は体調が悪化していたが、紫苑を見送ることを強く希望した。

「必ず合格してね」悠瑚は車椅子に座りながら、紫苑の手を握った。

「当然よ。約束したでしょう?」紫苑は振り返って微笑んだ。

試験は困難だったが、紫苑は悠瑚との約束を胸に、最後まで諦めなかった。

そして、春。桜が咲く頃、合格発表があった。

「受かった!」紫苑は病室に駆け込んだ。「悠瑚、受かったよ!」

悠瑚は涙を流しながら喜んだ。大弥も、普段は感情を表に出さない彼も、目を潤ませていた。

「これで、紫苑は医師になれる」悠瑚の声は弱々しかったが、確かに希望に満ちていた。