翌週の日曜日、悠瑚は紫苑を呼び出した。いつもの桜の木の下で、彼は重い口を開いた。

「紫苑、俺、病気なんだ」

紫苑の心臓が激しく鼓動した。

「白血病。医者は…まだ詳しい検査が必要だって言ってるけど、あまり良くないらしい」

「そんな…」紫苑の声が震えた。

「でも、まだ諦めてない。治療をすれば、良くなる可能性だってある。だから」悠瑚は紫苑の目を見つめた。「君には医師になってほしい。そして、いつか俺みたいな患者を救ってほしい」

紫苑は涙をこらえながら頷いた。「必ず医師になる。そして、悠瑚を治してみせる」

「ありがとう」悠瑚は微笑んだ。「でも、紫苑。もし俺に何かあっても、君は夢を諦めないで。約束して」

「そんなこと言わないで」紫苑は首を振った。「一緒に頑張りましょう。私が医師になるまで、悠瑚も頑張って」