音のない世界で私の耳になってくれた君は







「そんなんじゃねーよ!こいつは先天性難聴なんだ!耳が聞こえないんだよ!それに音過敏症だからテメェらの喋り声がノイズに変わるんだ!補聴器をとった今耳鳴りもひどいと思うぞ!どうしてくれんだよ!」



「…っ!」



「耳が聞こえない?」


「だからか…」


「イヤホンじゃなかったのか…」





俺は蛍の耳を押さえてあげた。


「はっ、はぁ、はぁ」


喋れない蛍の過呼吸の音が痛ましい。




その時俺は手に生ぬるい液体のようなものが触れた気がした。




血…?