音のない世界で私の耳になってくれた君は








あの茶色っぽい桃色の髪は………



蛍?






その時今朝と同じように堪忍袋の緒が切れた。




いやもっと怒りに燃え、頭より先に体が動いた。






「蛍!!!」






聞こえるはずもないのに思わず叫んだ。



俺は、いつの間にか蛍のクラスの中に入っていた。



そして蛍に駆け寄りとっさに抱きしめた。


…補聴器がついてない?


それが原因だとすぐに気づく。



『もう大丈夫だ。落ち着け、安心しろ』


蛍に見えるように手話で言った。





しかし蛍の震えは止まらない。



…そうだ!補聴器!


「耳についてる機械盗ったの誰だ!」


「俺だけど」


その男から補聴器を奪う。

蛍の耳につけたがどうやら意味がないようだ。



「なんだね!君は!他のクラスに入りおって!恋愛ごっこ気取りかね?」




「……は?」