「社長と直接話をするなら私と話すことは無いですよね」
窓の外を見ていた彼は苦笑いを私に向けた。
「また逃げる?」
何故か怒りを感じるけど彼の言葉にも一理ある。
「なっ、私は逃げてないです」
「本当に?」
仕方ないじゃない?
結婚は契約だったんだし?
今さら嫁バトルに参戦する気も周りの目も気にしたくない!
「俺に何も話さず出て行ったのに」
「言う必要ないでしょ」
「300万。これ手切れ金の額だったらしいね」
私は笑って誤魔化せるほど嘘が上手くない。
だいたい手切れ金までバレてるってどう言うこと?
彼女達は全部バラしたの?
「返さないとダメですか?結納金は全額返しましたよね」
冷蔵庫に入れてたカードも手を付けなかった結納金も全部返した。
手切れ金は彼から貰った物じゃないから返してない。
「結納金は返す必要無かっただろ?それより手切れ金の方を返せよ」
勝手に家を出た分せめて結納金は返したかった。
手切れ金は離婚の成功報酬だし良くない?
「そんなの社長には関係ないと思います」
妊婦の私にお金は必要!
子供に苦労をさせたくないんだからそれくらいは欲しい。
「あのな、」
「分かりました。返します!これで良いですよね。それを言いにわざわざ来たんですか?」
「…連れ戻しに来た」
どういうこと?
土下座でもさせたい?
それとも私から離婚届を渡されたことでプライドが許さず暴言でも吐きたい?
「あの…」
「黙って産むつもりだったのか」
これは思ってることと多分違う!
子供を奪う気だ。
「すみません!そこで降ろして下さい」
すぐウインカーを出して停まったタクシーから降りて歩き出す。
大人気ないけど今すぐお金を彼に返してこの人から離れたい。
「待て。おいっ!」
「今すぐお返ししますから」
「ゆっくり歩けって!」
「あなたに関係ないです」
このお腹と7カ月共に生活してるんだから少々早く歩いても大丈夫。
やっぱりこの人は後継ぎとしてこの子を奪いに来たんだ。
「いい加減にしろ。初果!」
初めて呼ばれて足が止まる。
今さら…
「名字で呼んで貰っても良いですか」
他人なんだし今さら呼ばれても。
「天水 初果。これ以外に名字はないよ」
どういうことか分からず立ち止まって振り返る。
「初果はどうしても離婚したいんだとは思ったんだけど…サインは出来なかった」
私に笑みを浮かべてる。
彼は嫁としての肩書が必要で次の嫁候補が二人も居るんだから私は要らないはず。
「お腹の子の父親は俺だろ。そろそろ正直に話してくれないか?」
「それは…、あっ…」
内側からさわさわとくすぐる感覚とポコッと押される感覚。
今まで感じたことが無かった感覚で凄く不思議。
私の中で生きている実感に感動して黙ってしまった。
「初果、大丈夫か?」
「多分動いて…ちょっと社長!」
跪いてる。
こんな姿見た事ないし想像してなかった。
見たことない優しい顏を私のお腹に近づけてる。
窓の外を見ていた彼は苦笑いを私に向けた。
「また逃げる?」
何故か怒りを感じるけど彼の言葉にも一理ある。
「なっ、私は逃げてないです」
「本当に?」
仕方ないじゃない?
結婚は契約だったんだし?
今さら嫁バトルに参戦する気も周りの目も気にしたくない!
「俺に何も話さず出て行ったのに」
「言う必要ないでしょ」
「300万。これ手切れ金の額だったらしいね」
私は笑って誤魔化せるほど嘘が上手くない。
だいたい手切れ金までバレてるってどう言うこと?
彼女達は全部バラしたの?
「返さないとダメですか?結納金は全額返しましたよね」
冷蔵庫に入れてたカードも手を付けなかった結納金も全部返した。
手切れ金は彼から貰った物じゃないから返してない。
「結納金は返す必要無かっただろ?それより手切れ金の方を返せよ」
勝手に家を出た分せめて結納金は返したかった。
手切れ金は離婚の成功報酬だし良くない?
「そんなの社長には関係ないと思います」
妊婦の私にお金は必要!
子供に苦労をさせたくないんだからそれくらいは欲しい。
「あのな、」
「分かりました。返します!これで良いですよね。それを言いにわざわざ来たんですか?」
「…連れ戻しに来た」
どういうこと?
土下座でもさせたい?
それとも私から離婚届を渡されたことでプライドが許さず暴言でも吐きたい?
「あの…」
「黙って産むつもりだったのか」
これは思ってることと多分違う!
子供を奪う気だ。
「すみません!そこで降ろして下さい」
すぐウインカーを出して停まったタクシーから降りて歩き出す。
大人気ないけど今すぐお金を彼に返してこの人から離れたい。
「待て。おいっ!」
「今すぐお返ししますから」
「ゆっくり歩けって!」
「あなたに関係ないです」
このお腹と7カ月共に生活してるんだから少々早く歩いても大丈夫。
やっぱりこの人は後継ぎとしてこの子を奪いに来たんだ。
「いい加減にしろ。初果!」
初めて呼ばれて足が止まる。
今さら…
「名字で呼んで貰っても良いですか」
他人なんだし今さら呼ばれても。
「天水 初果。これ以外に名字はないよ」
どういうことか分からず立ち止まって振り返る。
「初果はどうしても離婚したいんだとは思ったんだけど…サインは出来なかった」
私に笑みを浮かべてる。
彼は嫁としての肩書が必要で次の嫁候補が二人も居るんだから私は要らないはず。
「お腹の子の父親は俺だろ。そろそろ正直に話してくれないか?」
「それは…、あっ…」
内側からさわさわとくすぐる感覚とポコッと押される感覚。
今まで感じたことが無かった感覚で凄く不思議。
私の中で生きている実感に感動して黙ってしまった。
「初果、大丈夫か?」
「多分動いて…ちょっと社長!」
跪いてる。
こんな姿見た事ないし想像してなかった。
見たことない優しい顏を私のお腹に近づけてる。



