◇
「無駄な努力してる」
枕詞の“離婚しようとしたって”とはさすがに言われない。
全部分かってる友達の優しさだと思っておこう。
「子供の悪戯したって無理でしょ?」
パソコンを打つ手を止めて同期の山内 恵美(やまうち えみ)はニヤリと笑った。
「私も時間との戦いなの!」
あれ以外でも試したハニートラップも全滅。
旦那の靴を汚しまくったり…いつもクリーニングに出すYシャツにわざとアイロンかけして焦がしたり。
一番効き目がありそうだったのが勇仁くんとの飲み会くらい。
「あれから飲みは行ってないんだっけ。たまには私と行かない?」
「行きたいんだけどね。体調がなんか悪くて家でも飲んでないの」
最近ずっとお酒を受け付けない。
胃の調子が悪い。
二人からの煽りと圧の連絡でストレスが大きいと思う。
「初果にしては珍しいね。お酒とマスカットゼリーがあれば生きて行ける女なのに」
「そんな料理しない女みたいに…!近々病院に行くつもりだけど明日は不動産屋さんに行くからな…」
薬を飲まない自然治癒女の私でもさすがに病院に行こうかと悩む。
「ねぇ、妊娠の可能性ないの?」
恵美はボールペンをくるくる指で回しピタッと止める。
「まさかー!」
でも生理いつだったっけ?
いつも不順だから記憶が薄い…。
それ以前に避妊してた?
結婚当初は避妊してたのは覚えてるけど。
「可能性あるなら病院に行くのが先だと思うよ。その後でも離婚と不動産屋は良いじゃない」
彼もとい旦那は私に全く興味がない。
ただ利害が一致した籍だけの関係!
それなのにそんなわけがあるわけ…
「おえぇ……っ*☆▲§◇∞※!」
何が胸を張れる恋愛だ!
今日は特に本気で気持ち悪い!
簡単に割り切れるレベルの気持ち悪さじゃない。
今朝から異常な吐き気に胃腸科から回されてたどり着いたのは予想通り“産婦人科”だった。
「うんうん、気持ち悪いよね~。でも大丈夫」
そんなわけない!
優しい目の女医さんの診察を疑いたくもなる。
「初めは驚くわよね、でも」
絶対!そんなわけ…
「おめでとうございます。5週目過ぎたとこですね」
あった。
疑う余地なし!
超音波で胎嚢(赤ちゃんの袋)まで見せて貰ったら信じるしかない。
まじですか…
ほら、ドラマとか漫画との妊娠に気付くシーンだとちょっと「うっ…気持ち悪い」とか
可愛くない⁈
吐き気が異状すぎて可愛い感じじゃないんですけど⁈
(産む…?恋をしたかったのに?だったら…最悪の)
「でも私は…うっ、」
吐き気を堪えつつ紹介してもらった不動産屋を目指す。
家族に憧れがある。
公園に迎えにくる親。
参観日、運動会…私に親の記憶がない。
まだ出てもないお腹を擦って感慨深くなる。
私の子供いや家族がこの中で育っていてそして会える。
「この子をどうにかするなんて想像出来ない」
この子を宿したとバレたら?
考えたくない!
旦那、川崎さんと高梨さん、天水家…。
「早く逃げなきゃ」
不動産屋から真逆の自宅マンションに急いで帰って今後の準備に通帳を確認する。
結納金はお返しするとして手切れ金と私の貯金と節約しながら無理せず働けば生活すればそれなりに暮らして行ける。
「無駄な努力してる」
枕詞の“離婚しようとしたって”とはさすがに言われない。
全部分かってる友達の優しさだと思っておこう。
「子供の悪戯したって無理でしょ?」
パソコンを打つ手を止めて同期の山内 恵美(やまうち えみ)はニヤリと笑った。
「私も時間との戦いなの!」
あれ以外でも試したハニートラップも全滅。
旦那の靴を汚しまくったり…いつもクリーニングに出すYシャツにわざとアイロンかけして焦がしたり。
一番効き目がありそうだったのが勇仁くんとの飲み会くらい。
「あれから飲みは行ってないんだっけ。たまには私と行かない?」
「行きたいんだけどね。体調がなんか悪くて家でも飲んでないの」
最近ずっとお酒を受け付けない。
胃の調子が悪い。
二人からの煽りと圧の連絡でストレスが大きいと思う。
「初果にしては珍しいね。お酒とマスカットゼリーがあれば生きて行ける女なのに」
「そんな料理しない女みたいに…!近々病院に行くつもりだけど明日は不動産屋さんに行くからな…」
薬を飲まない自然治癒女の私でもさすがに病院に行こうかと悩む。
「ねぇ、妊娠の可能性ないの?」
恵美はボールペンをくるくる指で回しピタッと止める。
「まさかー!」
でも生理いつだったっけ?
いつも不順だから記憶が薄い…。
それ以前に避妊してた?
結婚当初は避妊してたのは覚えてるけど。
「可能性あるなら病院に行くのが先だと思うよ。その後でも離婚と不動産屋は良いじゃない」
彼もとい旦那は私に全く興味がない。
ただ利害が一致した籍だけの関係!
それなのにそんなわけがあるわけ…
「おえぇ……っ*☆▲§◇∞※!」
何が胸を張れる恋愛だ!
今日は特に本気で気持ち悪い!
簡単に割り切れるレベルの気持ち悪さじゃない。
今朝から異常な吐き気に胃腸科から回されてたどり着いたのは予想通り“産婦人科”だった。
「うんうん、気持ち悪いよね~。でも大丈夫」
そんなわけない!
優しい目の女医さんの診察を疑いたくもなる。
「初めは驚くわよね、でも」
絶対!そんなわけ…
「おめでとうございます。5週目過ぎたとこですね」
あった。
疑う余地なし!
超音波で胎嚢(赤ちゃんの袋)まで見せて貰ったら信じるしかない。
まじですか…
ほら、ドラマとか漫画との妊娠に気付くシーンだとちょっと「うっ…気持ち悪い」とか
可愛くない⁈
吐き気が異状すぎて可愛い感じじゃないんですけど⁈
(産む…?恋をしたかったのに?だったら…最悪の)
「でも私は…うっ、」
吐き気を堪えつつ紹介してもらった不動産屋を目指す。
家族に憧れがある。
公園に迎えにくる親。
参観日、運動会…私に親の記憶がない。
まだ出てもないお腹を擦って感慨深くなる。
私の子供いや家族がこの中で育っていてそして会える。
「この子をどうにかするなんて想像出来ない」
この子を宿したとバレたら?
考えたくない!
旦那、川崎さんと高梨さん、天水家…。
「早く逃げなきゃ」
不動産屋から真逆の自宅マンションに急いで帰って今後の準備に通帳を確認する。
結納金はお返しするとして手切れ金と私の貯金と節約しながら無理せず働けば生活すればそれなりに暮らして行ける。



