私の恋の解禁です!~嫁を推さない利害一致の契約旦那と幸せな離婚の進め方~

喜ぶべき?
私達は一般的な夫婦の関係性じゃないし昨日は本命と過ごしといてプレゼント?
それに28歳になった女がクマのぬいぐるみに喜びますか?

色んな意味で痛すぎる…。

「なんか…ありがとうございます」

納得出来るプレゼントでは無いのにお礼も何だか納得出来ない。

「私も何かお返しするべきですか?」

「普通それを本人に聞くか?」

そう言われればそうだ。
日本人の良き文化なのか私には【お・も・て・な・し】に似た心が足りないらしい。

私も彼にプレゼントを贈ったことが無かったから最後に何か上げるべきかと思っただけ。

「じゃあ…離婚届にサインします」

慰謝料抜きにしてやっても良い。
彼も1番欲しい物かも知れない。
クマの隣に正座して深々と頭を下げた。

「それ君へのプレゼントになるんじゃない?」

「分かりました。クマを仕方なく頂くので私も何か用意しますよ」

「言い方…仕方なくって」

隣にクマはすでに鎮座してるのに要らないと言えるわけないじゃない!!

「じゃあ何が欲しいんですか?」

仕方なくの件は無視して本題をサッサと片付けたい。

「後継ぎ」

それ離婚目前の女に言うこと?
そんなの彼女達にどちらかに頼んで頂きたい。
無神経すぎる。

「面白い冗談」
「その顔本当に傷付く」
「それはお互い様です」

自分の顏を見て私に言って欲しい。

「お返しは気にしなくて良い。生活費用に渡したカードも全然使われてないみたいだし。その分だと思えば良いだろ?」

「あれは…」

使い道もないのに貰った結納金と手切れ金は全額使わず取ってある。
自分の生活費を出してるだけなのに誕生日プレゼントまで貰うのは違う気がする。

(クマって悪気はないんだろうけどね…)

「何考えてる?」

ジッとクマを見る私にボソッと呟くと間合いを彼が詰めて来る。

「近いっ…」
「今さらだろ」
「離れて下さい」
「やっぱり病院行く?顔赤いよ」
「行きません!」

自分でも顔に熱を持つのが分かるくらい熱い。

「なぁ、あの男にもその顔見せた?」

「あの男…?顔…?」

あの男がパッと思いつかず頭の中をフル回転させても勇仁くんの事しか思いつかない。

「もしかして勇仁くんですか?一緒に寝ましたけど…」

彼が求めてる答えが分からない。
疑われる勇仁くんに失礼なくらい。

「普通バカ正直に寝たとか言うか?」
「違います‼寝たって…そう言う意味では、ちょっ‼」

言い訳を聞いてくれそうもない。
だって私の首筋に彼がキスを落としたから。

「…っ!くっ…」

逃げる場所なんて無い。
逃げようと顔を背けると余計に首筋にキスをする。

「逃げようとしたって無駄」

そう言って彼は私の指に自分の指を絡ませてきた。