「なっ、何で」
「ほら、全部出せ」
言葉はキツいけど背中をさする手は優しくてホッとする。
(…でもこの状態めちゃくちゃ恥ずかしすぎる‼)
便座の前に座り込み便器を抱える私ってどうよ?
旦那とは言っても籍だけの人でいつも私に興味なくて。
「出てっう」
「出て行って!」と言いたいけど我慢しても込み上げてくる。
「ゆっくり。落ち着いて。」
落ち着けます⁈
無理無理無理無理…
「俺が付いてるから」
優しくさする背中の手と優しい声に留め差された…
「うっ…おえぇええ……っごめっ、うっうっ…おっ*☆▲§◇※!」
「謝るなって。全部吐き出せ」
胃の内容物みたいに気持ちも全部出せたら良いのに。
こんな状況だから涙が滲んでも何とも思われない。
「一人で大丈夫か?」
シャワーを浴びようとする私に冷静な言い方だけど支えられても分かるほど彼の心配が動悸で伝わる。
私もドキドキするけど何だか不思議と落ち着いてくる。
「大丈夫です」
ドキドキを隠すようにため息まじりに呟いてバスルームに一人で入ると鏡に写る自分に驚いた。
マスカラもアイラインも眉毛も、
「怖っ…」
ジャケットもヨレヨレになって嘔吐物臭い。
「早く入ろう」
吐き気が止まった隙を見て怠い身体を何とか動かした。
「病院行くか?」
その言葉は無視してリビングのもふもふ絨毯に正座し深々と頭を下げた。
「居酒屋で飲んでそのまま寝てしまい…すみませんでした…」
旦那も川崎さんとこのリビングルームに居た証拠はあるけど今は立場的に昼帰りの私の方が悪い。
「それが理由ってわけね」
上からの物言いですかー。
旦那も何も言わずに出張に行ったりして何日も居ない時なんて山ほどある!
それも本当かどうか聞いた事は無いから分からない。
今回は勇仁くんの仕事の手伝い=会社に貢献!
褒められても良いくらいだし…!
頭では言い訳して見たけど静まり返った室内が怖すぎる。
「はは…そうですね」
適当に笑いで誤魔化したけど横目に茶色の物体が入ってきて二度見した。
「あれは何…ですか?」
デカい…大きい…世界的にも有名な茶色のクマのぬいぐるみがテレビの横に鎮座してる。
(…何でクマ?)
食い入るように見つめて立ち上がりその物体の前で部屋中をキョロキョロと見渡した。
ドッキリ?いや何の?
頭の中で色んな事を自問自答しながらまたキョロキョロする。
この部屋に似合わなくない?
ベージュと黒で統一されたシックな部屋に可愛らしい2m近いクマ!!
「ゴルフコンペとかの賞品とか」
腕組みして旦那の方を振り向くと呆れた顔でソファから立ち上がりクマと私を見下ろした。
「違う。ゴルフでクマは無いだろ」
だったらなんだ?
アレかサスペンスドラマで見かける…
「盗聴器とかカメラが仕込んで」
「そんな物あるか」
お笑いの突っ込み並に素早い反応にいつもの無感情は感じない。
「何ですかあれ」
「い、ち、お、う!君の誕生日だったからな」
誕生…日?
10月の…そう言えば昨日。
「あぁー、何とかもちましたね」
誕生日なんてもう祝った記憶は昔の話で感傷に浸る気持ちはとっくにない。
「何とかとか言うな…」
何故この人が憂いを帯びた表情になるのか分からない。
「ほら、全部出せ」
言葉はキツいけど背中をさする手は優しくてホッとする。
(…でもこの状態めちゃくちゃ恥ずかしすぎる‼)
便座の前に座り込み便器を抱える私ってどうよ?
旦那とは言っても籍だけの人でいつも私に興味なくて。
「出てっう」
「出て行って!」と言いたいけど我慢しても込み上げてくる。
「ゆっくり。落ち着いて。」
落ち着けます⁈
無理無理無理無理…
「俺が付いてるから」
優しくさする背中の手と優しい声に留め差された…
「うっ…おえぇええ……っごめっ、うっうっ…おっ*☆▲§◇※!」
「謝るなって。全部吐き出せ」
胃の内容物みたいに気持ちも全部出せたら良いのに。
こんな状況だから涙が滲んでも何とも思われない。
「一人で大丈夫か?」
シャワーを浴びようとする私に冷静な言い方だけど支えられても分かるほど彼の心配が動悸で伝わる。
私もドキドキするけど何だか不思議と落ち着いてくる。
「大丈夫です」
ドキドキを隠すようにため息まじりに呟いてバスルームに一人で入ると鏡に写る自分に驚いた。
マスカラもアイラインも眉毛も、
「怖っ…」
ジャケットもヨレヨレになって嘔吐物臭い。
「早く入ろう」
吐き気が止まった隙を見て怠い身体を何とか動かした。
「病院行くか?」
その言葉は無視してリビングのもふもふ絨毯に正座し深々と頭を下げた。
「居酒屋で飲んでそのまま寝てしまい…すみませんでした…」
旦那も川崎さんとこのリビングルームに居た証拠はあるけど今は立場的に昼帰りの私の方が悪い。
「それが理由ってわけね」
上からの物言いですかー。
旦那も何も言わずに出張に行ったりして何日も居ない時なんて山ほどある!
それも本当かどうか聞いた事は無いから分からない。
今回は勇仁くんの仕事の手伝い=会社に貢献!
褒められても良いくらいだし…!
頭では言い訳して見たけど静まり返った室内が怖すぎる。
「はは…そうですね」
適当に笑いで誤魔化したけど横目に茶色の物体が入ってきて二度見した。
「あれは何…ですか?」
デカい…大きい…世界的にも有名な茶色のクマのぬいぐるみがテレビの横に鎮座してる。
(…何でクマ?)
食い入るように見つめて立ち上がりその物体の前で部屋中をキョロキョロと見渡した。
ドッキリ?いや何の?
頭の中で色んな事を自問自答しながらまたキョロキョロする。
この部屋に似合わなくない?
ベージュと黒で統一されたシックな部屋に可愛らしい2m近いクマ!!
「ゴルフコンペとかの賞品とか」
腕組みして旦那の方を振り向くと呆れた顔でソファから立ち上がりクマと私を見下ろした。
「違う。ゴルフでクマは無いだろ」
だったらなんだ?
アレかサスペンスドラマで見かける…
「盗聴器とかカメラが仕込んで」
「そんな物あるか」
お笑いの突っ込み並に素早い反応にいつもの無感情は感じない。
「何ですかあれ」
「い、ち、お、う!君の誕生日だったからな」
誕生…日?
10月の…そう言えば昨日。
「あぁー、何とかもちましたね」
誕生日なんてもう祝った記憶は昔の話で感傷に浸る気持ちはとっくにない。
「何とかとか言うな…」
何故この人が憂いを帯びた表情になるのか分からない。



