二人しか住んでいないこの家の中。
 チリンと、鈴の音が鳴る。
 音の先には一人の女性が青色の小さな鈴を手にして、縁側に座っていた。
 僕はそっと彼女が居る部屋の外の壁に縋り、彼女に聞こえないように小さく囁いた。
「蒼華、好きだよ。」
と、聞こえるはずはなく、彼女は、ずっと鈴を鳴らしている。
 僕が渡した鈴が心に響き、代わりに気持ちを伝えてくれますように。
 そう願いながら渡した鈴は直接は言えない言葉を少しずつ伝えてくれるようだった。