世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 目を覚ました日から2週間後、私は2か月ぶりに学校の校門をくぐった。

「お母さん。全然気づかなくてごめんね。辛いようなら転校とかでもいいんだからね」

 泣きながら、私の前に座り込む。

「大丈夫」

 このまま逃げたら、私は一生5人が放った言葉に苦しむような気がした。

 それに、弱いままだと思いたくなかった。

「大丈夫だよ。私は強くなれたから」


 教室に入って席に着くと、ざわざわとしていて、私の噂話をしている声が聞こえる。


 高橋真夏が教室に入ってくる。

 そして、私を見て舌打ちした。

 やはり、怖い。

 耳を塞ぎたい。

 だけど、駄目だ。


「あ~れ。君葉ちゃん、自殺したんじゃなかったの。死んだんだと思ってたのに」

 煽るような歪んだ顔。

 姿を見ると、恐怖を感じるけれど、俯瞰的に見ると、恐怖を感じない。

「そうだよ。自殺したよ。だけど、死ねなかった」

 でも、死ねなくてよかった。

 不思議と怖さはなくなっていた。


 チッ。

 舌打ちをして、高橋真夏は去っていった。

 あれから、高橋真夏と関わることはなくなり、教室の陰湿な空気も少しずつ変わっていった。


 ポケットの中につけた炎狩人のバッジを深く握りしめる。

「静海。久しぶり」

 ヒッ。

 小さく悲鳴を上げて、後退る。

「恨んでるの?」

 怯えるような目で、私の方を見る。



「ごめんね。君葉。高橋さんたちに脅されて、怖くて。だからその悪いと思ってるから。お願い、許して」

 まるで、私が化物なのかというくらいに怯えている。

「恨んでないよ」

 私の声はそう冷たく告げた。


 恨んでないなんて言葉は嘘になる。

 だけど、その恨みを静海にぶつけるつもりはない。

「だけど、傷ついた。だから許しはしない。私にとって、謝られたところで、記憶が無くなったりはしないから」

 息を一息、吸う。

「でも、静海のことはなぜか楽しい記憶の方が多く思い出す。だからさ、もう一度だけ仲良くしたい」

「私も。またそう言ってくれて、ありがとう」

 その笑顔は、安心と嬉しさが交わっている。

 輝羽が泣きそうなときに頭を撫でた。

 その時の表情に似ている。