世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 目を開けると、真っ白い天井があった。

「あ、加納さん。目、覚ましましたか」

 ブルーのナース服を着た看護師さんが声をかけた。


「ここってどこですか?」

「病院よ。学校の屋上から飛び降りて、1か月ほど寝たきりだったのよ」

 1ヶ月も。


「お医者さんに伝えてくるわね」

 そう言って、駆け足で去っていった。


 端夜。迅斗。ヤイル。輝羽。燦空。

 あの世界は夢だったのだろうか。


 でも、話した声も食べ物の味も、全て鮮明に残っている。


 手をぎゅっと握りしめると、手の中に固い瓶が入っていた。

 そうだった。

 火山の中で意識をなくす直前に、何かにしがみつこうと手を伸ばした時に掴んだ感触。


 瓶の中には、透明に輝く液体と美しい花達が入っていた。

 繊細な曲線を描く花弁が何重にもなって重なっている赤く大きな花。

 透きとおるような青をした花が三輪。


「お、加納さん。目を覚ましましたか」

 お医者さんが急ぎ足で駆けよってきて、その瓶をそっと隠し、苦笑いを浮かべる。

「どこか痛みはありますか」

「いえ。特にないです」

 病院服を着た体を見渡すと、胸元に炎狩人のバッジがついていた。

 部分的に焦げていて、金色の部分がくすんでしまっている。

 それでも、そのバッジを指でなぞると、色々な思い出が蘇った。


 白く可愛らしく咲く、カスミソウ。