世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 燈の玉が、燃え盛る山の中から宙に放たれ、ゆっくりと空に吸い込まれていった。

 その小さな球体は、まるで天を割っていくやりのように、力強く空を切り裂いていく。

 球からあふれだした光は瞬く間に夜空を染めていく。


「やったな。桜夜」

 小さく微笑み、手の中の瓶を握りしめる。


 その瓶は、桜夜にプレゼントするために、作ったハーバリウムだった。

 キミハに、炎狩人になるために渡した本と一緒に買った、ハーバリウムの本を見ながら。

 桜夜が、燈の玉を取った時に、喜んでもらえるように、一生懸命作った。


 寂しさ。 悲しさ。

 それらの感情に耐えるように目を閉じる。


 くそ。

「届け」と願い、地面を蹴る。

 風と一緒に走っているようで心地がいい。

 頭の中に一瞬の静寂が広がって、視線が目標をしっかり捉えた。

 勢いよく、振り上げて手を放す。


 透きとおった液体が夕陽に輝く。

 瓶の中で眠る花々が揺れ、光に照らされてその色彩が際立った。


 燃え盛る火山の中にスッとその瓶が入っていった。