世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

火も、気持ち程度だけど、少し収まってきたような気もする。

私は、あと少しであの中に飛び込むんだな。

怖さを抱えながら、震える手をこすり合わせて暖める。


「8時だな」

指揮を執っていたレジェンドの炎狩人の人が近づいてきた。


「これ。つけて行け」

端夜の手は震えている。

自分の胸元に輝いていたバッジをそっと外し、私につけた。

優しく温かい。

戸惑う私に柔らかく微笑む。

「列夜先輩にもらった物があるから心配するな」

口元がゆっくりと広がって、仄かに微笑む。

後ろのレジェンドの人を振り返ると、「今回は特例だな。お前は立派な炎狩人だな」と笑う。

「ありがとう」

「頑張れ。燈の玉取ってくること信じてるから」

「そうだぞ。思い切っていって来い」

「キミハちゃん。頑張って」

端夜と迅斗、宵華先輩。集まった炎狩人や街の人達が大きな声援をくれる。

「ありがとう」

何度思ったか、何度行ったか分からない言葉を私はまた紡いでいる。


炎狩人になりたい、そんな夢をくれた。

命を助けてくれた。

生きたいという気持ちをくれた。

踏み出す勇気とか、怖いものから逃げずに向き合っていく力をくれた。

世界の美しさを教えてくれた。

「ありがとう」

流れ出す涙を抑えながら、そして、もう一度、私はその言葉を紡ぐ。