世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 涼しさがよぎる朝顔、太陽のような眩しさを持つひまわり。

 森の中を探索してカブトムシやクワガタを捕まえたり、植林さんの家にお邪魔して風鈴づくりを体験したり。

 星空の大三角を探したり、肝試しをやってみたり。

 炎狩人たちで流しそうめんをやったり、海で泳いだり。

 夏らしいことをたくさんやった夏休み。


 けれど、予言された日が近づくにつれて、焦りや恐怖が浮かんでくる。

 途端に涙が流れてきそうになって、ネガティブな思考に陥ってしまう。

 ぐちゃぐちゃとした感情を抱えながら、予言前々日の私は布団にもぐった。


「おはよう」

 鏡を見ると、少しやつれた顔をしている私がいる。

「大丈夫か。今日は、花畑の近くに燈の玉が落ちたらしい」

 柔らかい土道を歩いていく。

 日射が照り付けて、常に汗が垂れる。

「水分補給、ちゃんとしろよ」

 水が入った水筒を渡されて、ごくごくと一気に飲む。

 ひんやりとした水が体内に入ってきて、体に染みた。


 ひまわり畑。

 風が吹くと、花々の頭が何かを囁くように揺れる。

 その途端、空が光った。

 真昼の青空に、燈の玉が昇っていく。 広がっていく色彩。

 美しく、生命の強さを感じる。


 深呼吸して、布団にもぐる。

 どうしたって、怖い想像をしてしまう。

 崖から転落する場面とか、どこかで遭難する場面とか。

 嫌な想像はちっとも止まってくれなくて、視界が回転していく。

 胸が締め付けられるような感覚に襲われて、呼吸が浅くなっていく。

 目の前の景色は歪み、耳には心臓の音だけが響く。

「おい。大丈夫か」

 我に返って目を開けた。

「ゆっくりと深呼吸しろ」

 静かに目を閉じて、大きく息を吸い込む。

 新鮮な空気が肺の奥深くまで広がっていき、落ち着きを取り戻す。

 息を吐き出すと、肩の力が抜け、心が静まっていった。


 安心させるように、肩を叩かれる。

「明日のことは、大丈夫。絶対に守るから、安心してくれ」

「そうだね。きっと大丈夫」

 仄かに照らされた心臓を抱えて、私は布団にもぐった。