世界は、きっと美しい。~屋上から飛び降りた先は、太陽を紡ぐ異世界でした~

 炎狩人の郷学院に一日はまず、ランニングから始める。

 朝六時に起床の放送が鳴り、体操服を着て、校庭に出た。

 ゼリー飲料で軽めの食事をとってから、校庭を5周(3キロ)。

 走り終わったら、十分の休憩。


 そして、お待ちかねの朝食。

 ざわめきが広がって、喜びの色が溢れていく時間。

 焼き魚の香ばしい匂いや卵焼きのふわっとした黄色。

 走った体に、美味しさが沁み込んでいく。

「うめー」

 美味しそうに食べるクラスメイトの声に微笑みが漏れる。


 朝食後も、また十分休憩が入って、七時十分から授業が始まる。

 炎狩の郷学院では、午前に座学を4時間、午後に実技という授業構成。


 座学には、8つの教科がある。

「緊急対応術」:探索中のけがや事故に素早く対応するための技術を学ぶ。

「火地学」:燈の玉が落ちやすい地形について学ぶ。

「探査通達」:燈の玉の発見を正確に記録し、通達するスキルを学ぶ。

「火気学」:地球全体の気候や気候データーについて学ぶ。

「緊急燈守」:燈の玉が引き起こす可能性のある危険から仲間を守るためのスキルを学ぶ。

「追跡術」:燈の玉を見つけるための戦術を学ぶ。

「英雄学」:多大な責任を果たすための心構えや倫理を学ぶ。


 午前の座学が終わり、昼食。

 昼食は、「一緒に食べよう」と誘ってくれた輝羽(きう)ちゃんと燦空(さそら)さんと食べた。

 輝羽ちゃんは、子供っぽくて、燦空さんは大人っぽい

 正反対の性格だなと感じたけれど、それはそれで補い合う感じでちょうどいいのかもしれない。


 午後は、校庭で体力テスト。

 10の種目で1種目10点満点で点数化する。

 私の合計得点は、79点。

 平均から1,2ポイントしか変わらないことに、少し焦りを覚える。

「私、95だったよ」

 得意げな顔をして、ヤイルが微笑んだ。

 ヤイルは、50m走や障害走など、瞬発力やスピードを計測する種目が並外れて長けてた。

 羨ましさと嫉妬が声に出てしまう。


 この世界に来てからは、運動を頑張ってきたものの、もともと苦手だったから、どうしても運動の数値は低くなってしまう。

 どうにかして、1種目くらいは得意になるようにしないと。